子供たちが夏休みをエンジョイしていた時節、愛媛FCは好調を維持していた!

 

 

 

 

 

 

 

 7月31日に行われた第25節(対長崎戦)での勝利を皮切りに、第26節(対岡山戦)、第27節(対千葉戦)と勝利し、今季初の3連勝を成し遂げた愛媛FC。続く第28節(対鹿児島戦)では、悔しい逆転負けを喫したのだが、この試合でも前半で2点を先行するなど、とにかく攻撃力、得点力が向上しているのが伺える。今まで決定力不足を嘆いていたチームとは思えない程の豹変振りを見せているのだ。

 

 8月25日(日)、J2リーグ2019第29節となる「愛媛FC対大宮アルディージャ」の一戦がニンジニアスタジアム(愛媛県松山市)で行われた。

 

 第28節終了時点、リーグ戦で2位の大宮。J1復帰のため、彼らも負けられない戦いが続いている。そんな強豪チームをホームに迎え、愛媛FCの真価が問われる重要な一戦となった。

 

 夕闇の中、時刻は午後7時を回り、大宮のキックオフで試合がスタート。序盤から、細かくパスを繋ぎ敵陣へと積極的に攻め入る愛媛。敵陣でセットプレーを呼び込むなど、試合を優位に進めた。前半28分、FW山瀬功治選手のヘディングシュートからコーナーキックのチャンスを得る愛媛。DF前野貴徳選手が左コーナーから低い弾道のクロスボールをニアサイドへと供給。ゴール前に飛び込んだ山瀬選手がこのボールを押し込み見事、ゴール!スタンドから大歓声が沸き起こる。ベテランらしい職人芸を魅せた山瀬選手はチームメイトと抱き合い喜びを分かち合う。

 

 この得点で自信が確信へと変わった愛媛イレブン。相手に攻め込まれ、ピンチを迎えるもGK岡本昌弘選手がナイスセーブを連発。DFラインのコントロールもDF山崎浩介選手を中心に上手く統率できていて、随所で敵の攻撃の芽を摘み取っていく。

 

 すると前半41分、敵陣右サイドから素早く攻め込むと、ゴール前のルーズボールをFW近藤貴司選手が押し込み追加点をあげた。両手を高く掲げ、喜びを表現する近藤選手。スタジアムは再び歓喜に包まれた。

 

 その後、大宮も意地を見せた。前半の終了間際、大宮に1点を返されるが、愛媛の勢いは止められない。

 

 後半2分、愛媛は敵陣に相手のボールを奪い、ショートカウンターを仕掛ける。近藤選手のミドルシュートからFW丹羽詩温選手がゴール前に詰める。混戦からボールがこぼれたところ、後ろから走り込む近藤選手。ボールを押し込み再びゴールネットを揺らした。ベンチメンバーと抱き合い喜びを分かち合う近藤選手!「オーオオオッオッオッ! こんどうたかし!」

 

 サポーターによる近藤選手を称えるチャントが鳴り止まない。

 

 再び大宮に2点差をつけた愛媛だが、サポーターの興奮度は、その後も益々加速していく。

 

 アディショナルタイムに入り、近藤選手のフィードボールから敵DFの背後に抜け出た途中出場のFW藤本佳希選手が自らゴール前まで持ち込み4点目をゲットした。チームメイトから手荒な祝福を受ける藤本選手。スタジアム全体に歓喜の輪が広がっていく。

 

 その3分後、今度は岡本選手のロングフィードから藤本選手と共にボールを繋いだ途中出場のFW西田剛選手がとどめのゴールを決めた。本人のみならず、皆が待ちに待っていたゴール! 西田選手は愛媛サポーターが陣取るバックスタンドに駆け寄り、ガッツポーズを繰り返し、喜びを爆発させる。西田選手にとって、約1年2カ月振りのゴールである。長くケガや故障で苦しんでいたキャプテンによる久々のゴールは、あまりにもドラマチックで、その感動的なシーンに涙を流しているサポーターも少なくはなかった。

 

 直後、ホイッスルが吹かれ、試合終了。最終スコアは5-1。強敵を相手に愛媛FCが大勝利を収めた。

 

 もちろん試合後は、選手たちと一緒に勝利のラインダンス! サポーター同士で肩を組み、歓喜のダンスを踊り、喜びを分かち合った。

 

 お楽しみは、その後も続く。今季から「勝ったら餅まき」というプチイベント(ホームゲームでの勝利の際の限定イベント)を試合後に行っている。その試合で得点を決めた選手たちがメインスタンド側バルコニーから、サポーターやファンに向かって、お祝いのお餅をまく(投げる)のである。私も、このイベントの盛り上げ役として毎回、参加させていただいており、勝利を喜ぶラインダンス終了後、バックスタンドからメインスタンドまで、太鼓を担ぎ、急いで移動しなければならない。それでも勝利を味わった後なので、応援の疲れはあっても足取りは軽いのである。そんな楽しいプチイベントの終了後、今度は撤収ボランティアの仕事をこなし午後10時30分、この日のホームゲームでの活動を終えた。

 

 約1カ月の間、愛媛FCの選手たちが着用してきた「西日本豪雨災害復興祈念ユニフォーム」。そのユニフォームでの試合も第29節で終了となった。きっと県内の被災地の方々にも、試合を通じて勇気を届けることができたのではないだろうか。

 

 名残惜しい夏休み最後のホームゲームで、5発の大花火(ゴール)を満喫し、心地良く家路に着いた愛媛FCサポーターだった。

 

 

 

 

 

 

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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