(写真:レフェリーのペナルティーの判定に宙を見上げる稲垣)

 6日、「リポビタンDチャレンジカップ2019」が埼玉・県営熊谷ラグビー場で行われ、世界ランキング10位の日本代表(ジャパン)が同5位の南アフリカ代表に7-41で敗れた。ジャパンは前半に3トライを奪われるなど、劣勢を強いられた。後半は1トライを返したものの、さらに差を広げられた。ジャパンはW杯前最後のテストマッチを黒星で終えた。

 

“ブライトンの奇蹟”から4年――。その再現を狙うべく日本で南アフリカを迎えたが、W杯を前に現実を突きつけられたかたちとなった。

 

 スプリングボクス(南アフリカ代表の愛称)は世界ランキングを5位に落としていたものの、この夏にはニュージーランドやオーストラリアなどのW杯優勝候補を抑え、ザ・ラグビー・チャンピオンシップを10年ぶりに制していた。

 

(写真:南アの強固なスクラムにも押し負けなかった)

 ジャパンはパシフィックネーションズカップで3連勝。7年ぶりの優勝を果たした。一時は過去最高に並ぶ世界ランキング9位に浮上。W杯に向け、勢いに乗るチームの実力を測るには格好の相手だ。

 

 しかし、いきなりアクシデントがジャパンを襲う。前半4分、WTB福岡堅樹(パナソニック ワイルドナイツ)が足を痛め、交代を余儀なくされた。快速トライゲッターを早々に失い、暗雲が立ち込める。マイボールラインアウトもキープできず、苦しい時間が続いた。

 

 前半7分、ジャパンは先制点を奪われた。ラインアウトのミスでノックオンを犯し、自陣右サイドでのスクラム。スクラムこそ互角の勝負を見せたが、左に展開され、大外のWTBチェスリン・コルベにトライを取られた。対峙したSO田村優(キヤノンイーグルス)はステップで簡単にかわされた。角度のないコンバージョンキックはSOハンドレ・ポラードが決められた。

 

(写真:マピンピ<11>をはじめ両サイドを再三突破された)

 次の得点も南アフリカに取られた。22分、自陣で田村が上げたハイパントをFBウィリー・ルルーにキャッチされる。左サイドのタッチライン際を走るWTBマカゾレ・マピンピにボールが渡ると、田村がアンクル・タックルを狙うもかわされ、トライを奪われた。ポラードに左隅のコンバージョンを決められ、0-14とリードを広げられた。

 

 南アフリカはその後も攻め手を緩めなかった。31分にマピンピがトライ、39分にはポラードがPGを決めた。ジャパンは0-22で試合を折り返す。

 

 後半開始早々はジャパンが優勢だった。速いテンポでパスを回し、敵陣でプレーし続けた。だが、最後はペナルティーを犯し、得点が遠い。逆に13分、マピンピにこの試合3つ目のトライを喫した。

 

(写真:WTB起用の松島。1トライを挙げたが守備では苦しんだ)

 2万人を超える大観衆が沸いたのは20分だ。CTB中村亮土(サントリーサンゴアリス)のタックルで南アフリカのパスが乱れると、CTBラファエレ・ティモシー(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)がボールを弾く。これをWTBアタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)が拾い、右サイドを走るWTB松島幸太朗(サントリーサンゴリアス)へパス。ハーフウェイラインでボールを受けた松島は約50mを独走し、トライを挙げた。

 

 田村のコンバージョンキックも決まり、7-27。大観衆の応援を背に、ジャパンの追い上げムードは高まった。29分には連続攻撃で敵陣まで攻め込んだがノックオンでチャンスを逸した。31分には敵陣でペナルティーを誘い、1人をシンビン(10分間の退場)に追い込んだ。

 

(写真:途中出場のH・ヤンチース<ボールホルダー>は南ア期待の若手)

 ところが、ジャパンは追いつくどころか、ここから南アフリカに突き放された。33分、田村の飛ばしパスをインターセプトされ、コルベに独走を許した。39分には売り出し中のSHハーシェル・ヤンチースにもカウンターから守備のギャップを突かれた。2トライと2ゴールで点差は大きく開いた。

 

 終わってみれば7-41とティア1の力を痛感させられた。W杯本番を前に課題を改めて突き付けられたかたちだ。セットプレーはスクラムでいい勝負を見せたものの、ラインアウトの精度はいまひとつだった。速いパス回しでチャンスをつくるも、ハンドリングエラーが目立ったのも気になった。

 

 また南アフリカはSHファフ・デクラークを中心にキックを多用してきた。ジャパンのFLリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス)は「蹴ってWTBにプレッシャーをかけてきた。フィフティフィフティのボールを相手が多く取った感じはありました」とブレイクダウン(球際のボール争奪戦)の攻防でも劣勢を強いられた。

 

 試合後、ジェイミー・ジョセフHCは「キックを狙ってきたのはサプライズではなかった」と語った。ジャパンの両翼は決して大柄ではない。「アイルランドやスコットランドもそういう戦術を組み立ててくる」。空中戦を仕掛けてくるのは想定内だったはずだが、対応し切れたとは言えなかった。

 

(写真:司令塔の田村は再三長いパスを狙ったが、うまく通らなかった)

 リーチは「この試合でティア1の強さ、圧力が分かった。準備としてはいい試合だった」と振り返った。本番までは残り2週間だ。「十分時間はある。チームの修正能力は高い」。20日のロシア戦を皮切りにアイルランド、サモア、スコットランドと対戦する。

 

 南アフリカとの対戦成績はこれで1勝1敗となった。ジャパンはプールBの南アフリカとは決勝トーナメント進出すれば、当たる可能性がある。今回は力の差を見せつけられたが、リベンジの機会を自ら掴むことができるのか。

 

(文・写真/杉浦泰介)