アジアで初となる「楕円球の祭典」が先週の金曜日に開幕した。日本代表がロシア代表を撃破した初戦の舞台、東京・味の素スタジアムは約4万6千人の大観衆で埋まった。京王線の飛田給駅で下車し、スタジアムまで歩いたのだが、目に入る風景が、いつもとは違っていた。

 

 ここはサッカーJ1のFC東京が本拠とする。要するにサッカー観戦者との比較になるのだが、ラグビー観戦者の方が、幾分年齢層が高いように感じられた。男女比では圧倒的に男性の方が多い。同様のことは土、日に取材した神奈川・日産スタジアムでも感じられた。

 

 W杯同士を比較しても、02年のサッカーと19年のラグビーとでは、前者の観戦者の方が若かった記憶がある。これは競技の生い立ちや性格からして、おそらく世界的な傾向なのだろう。

 

 それを裏付ける興味深いデータを見つけた。日本ラグビー協会と日本国際観光学会の調査によると、15年イングランド大会の日本人観戦者は79.4%が男性だったのに対し、女性は20.6%に過ぎなかった。年齢層の内訳は30歳以下が2.4%、31歳から40歳までが14%、41歳から50歳までが31.3%、51歳から60歳までが27・6%。実に観戦者の約84%を41歳以上が占めていたのである。

 

 国内のリーグにおいても同様のことが言える。スポーツサイト「AZrena」が18年に実施した調査によると、Jリーグファンの約37%が女性だったのに対し、トップリーグは約24%。年齢層についてはサッカーの場合、40代以上の男性が全体の約36%だったのに対し、ラグビーは約54%と半分以上を占めた。またラグビーファンには「富裕層が多い」という属性もある。

 

 日本大会での観戦者のチケットデータは2021年秋にスタート予定の新リーグにおいて、デジタルマーケティングのベースとなるものだ。

 

 富裕層に属する40歳以上の男性は、総じて可処分時間が長い。趣味に時間を費やすことをいとわない。この層と周辺をコアターゲットにするのは当然だとしても、それだけではまだ足りない。いかにして女性や若年層にまで支持を広げるか。リピーターを増やすには本拠とする地域との連携も欠かせない。強みをいかし、弱みを補えば、新リーグの未来は暗くない。日常にラグビーのある暮らしは、きっといいものだろう。

 

<この原稿は19年9月25日付『スポーツニッポン』に掲載されたものです>


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