“ファン自身が元気づけられた魂あふれるベストプレー”に贈られる「ジョージア魂賞」の年間大賞表彰式が27日、都内ホテルで開催された。この賞は缶コーヒーブランド「ジョージア」がプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結して2010年に創設され、今季で5シーズン目となる。全12回に渡ってファン投票で選ばれた今季のジョージア魂賞の受賞プレーの中から、さらにファンの支持を集めたものが年間大賞に輝いた。栄えある今年度の年間大賞には大谷翔平投手(北海道日本ハム)が4月20日(対東北楽天)にみせた、剛速球でピンチを脱出した投球に決まった。またOBの山田久志氏、同賞のナビゲーターを務めたお笑い芸人の渡部建さんらによってジョージア魂賞特別賞も決定し、こちらは山本昌投手(中日)が9月5日(対阪神)にみせた最年長勝利記録を更新した投球と、稲葉篤紀選手(北海道日本ハム)が9月30日(対埼玉西武)に放った代打逆転2ランが選ばれた。
(写真:勢ぞろいした今季の受賞者たち ※エルドレッド、稲葉は欠席)
 投げては11勝、打っては10本塁打。二刀流への挑戦を続ける20歳の若武者のプレーが多くのファンの支持を集めた。
 大賞に輝いたのは、今季2勝目をあげた4月20日の対楽天戦。1点リードの6回、2死一、二塁と一打同点のピンチで打席にアンドリュー・ジョーンズを迎えた場面だ。ストレートで真っ向勝負を挑み、最後は154キロの速球でバットに空を切らせた。

「自分の自信のあるボールで打ち取りたいと思っていた。絶対に抑えるんだという気持ちで投げた」
 大谷はそうプレーを振り返り、「選ばれるとは思わなかった。ファンに選んでもらったのはうれしい」と喜びを口にした。厳しそうに思えた投手と野手の両立も「昨年はきつかったが、今年はそれほどきつくなかた」と本人は涼しい顔だ。

 オフには侍ジャパンの一員に選出され、MLBオールスター相手に力勝負で三振を奪うシーンもあった。表彰式後のトークショーでは球界最年長投手の山本昌から、「将来、メジャーリーグで挑戦するなら、ピッチャーとバッター、どちらでやりたい?」と質問を受ける場面も。「メジャーの方にはピッチャーとして評価していただいた。ピッチャーの方が可能性が高いと思う」と、その視線は海の向こうをも見据えている。「もっともっと印象に残る活躍をしたい」とプロ3年目のさらなる飛躍を誓った。
(写真:トークショーで大谷は侍ジャパンの同僚だった則本にオフシーズンの過ごし方を質問した)

 特別賞の山本昌は、今季、49歳0カ月で白星をあげ、NPBの最年長勝利投手記録を更新した。息子ほど年齢の離れた選手たちと同じ土俵で戦い続ける姿は、たくさんのファンを元気づけている。
「“山本昌さんに元気をもらいました”という言葉に元気をもらっている。そういう方のためにも頑張りたい」
 そう語る左腕は来季、ついに50歳を迎える。今季はレコード更新の1勝に終わり、「調子を保つのが難しかった」と反省点を口にした。

「体調と調子さえ整えば、もっともっとやれる」
 球界のレジェンドは「ひとつだけ勝っても仕方がない。ローテーションに入って優勝できるように、チームの勝利に貢献できるように頑張りたい」とプロ32年目へ巻き返しをファンに約束した。

 今季限りで20年間の現役生活にピリオドを打った稲葉は引退表明後に放った代打での価値ある一発が特別賞に選ばれた。所用のため、表彰式は欠席したが、ビデオで「ファンの皆さんの声援が打たせてくれた一打。これからは今までと違うかたちでプロ野球と関わるが、応援していただけるファンの方を元気づけられるように精進したい」とコメントを寄せた。

 年間大賞、選考委員特別賞以外の各回の受賞者は以下の通り(年間大賞の大谷は第3回、特別賞の山本昌は第11回、稲葉は第12回の受賞)。

第1回  東北楽天・則本昂大投手 エースへの階段を上がるプロ初完投勝利(3月28日、対埼玉西武)
第3回  埼玉西武・岸孝之投手 マリンガン打線寄せ付けず、ノーヒットノーラン達成(5月2日、対千葉ロッテ)
第4回  巨人・松本哲也選手 同点のピンチを救ったスーパーキャッチ(5月20日、対埼玉西武)
第5回  オリックス・金子千尋投手 投打にわたる活躍でエース対決制す(5月23日、対広島)
第6回  広島・ブラッド・エルドレッド選手 悪夢の9連敗を止める4番の満塁弾(6月15日、対千葉ロッテ)
第7回  東北楽天・松井裕樹投手 ピンチを断つ躍動感あふれる投球でプロ初勝利(7月2日、対オリックス)
第8回  横浜DeNA・三浦大輔投手 ベテラン右腕の熱投で巨人を3タテ(8月7日、対巨人)
第9回  千葉ロッテ・岡田幸文選手 勝利を導いた好守連発(8月10日、対埼玉西武)
第10回 北海道日本ハム・陽岱鋼選手 勝利を呼び込んだ2本塁打(8月24日、対埼玉西武)