18日、ラグビーW杯日本大会に出場した日本代表(ジャパン)の帝京大学OBが都内の同大八王子キャンパスで報告会を行った。帝京大は史上初のW杯ベスト8入りを果たしたジャパンのメンバーに最多7人を輩出。そのうちの6人が約1000人が集まった報告会に出席した。

 

 先週11日に行われた東京・丸の内でのパレードは約5万人のファンを集めるなど、フィーバーぶりが冷めやらない。勇敢な桜の戦士たちは母校に帰っても大歓迎された。

 

 ジャパンのスコッド31人中7人と最大勢力を誇るのが帝京大だ。パナソニック ワイルドナイツの堀江翔太、坂手淳史、松田力也、サントリーサンゴリアスのツイ・ヘンドリック、中村亮土、流大、トヨタ自動車ヴェルブリッツの姫野和樹。姫野は母校の愛知・中部大春日丘高を訪問したため欠席したが、ほかの6人が帝京大八王子キャンパス内にあるキュリオシティホールで報告会を行った。

 

 7人の中で一番先輩にあたる堀江は「全く違う大学。明るくなった」と印象の変化を語った。この数年で様々な施設が建て替えられた。会場となった1000人収容できるキュリオシティホールのあるソラティオスクエアはその代表格と言える。最年少の松田も「建物がキレイになり、雰囲気も変わりましたね」と口にした。

 

 流は「今があるのも大学の4年間があったからこそ。こうやって帰ってこれてうれしい」と述べた。帝京大は全国大学選手権大会で前人未踏の9連覇を達成した。近年の大学ラグビーをリードしてきた存在だ。そのOBである彼らはジャパンの一員として史上初のW杯ベスト8に大きく貢献した。

 

 今年の流行語大賞にも選ばれたジャパンのチームスローガン「ONE TEAM」。帝京大勢も一役買った。この日の報告会でも冗談を言い合い、雰囲気の良さを窺わせた。「多少の上下関係はありますが、しょうもない上下関係はない」と堀江。松田は「グラウンド内外で思ったことを言える仲。先輩方が壁をつくらずフレンドリーに接してくれる」と話した。このイベントの席でも先輩を後輩がイジる場面があり、風通しの良さを感じた。

 

 W杯日本大会のジャパンは過去最多の外国出身選手で臨んだ。流は帝京大生からの「W杯を通して学んだことは?」との問いに、こう答えた。

「チームがひとつになることを学ばせてもらいました。多国籍なチームでトンガ、サモア、韓国、南アフリカなどいろいろな国の出身選手が日本代表にはいました。彼らの文化、日本の文化を互いに尊重し合い、ひとつの目標に向かってみんなで突き進む。ラグビーという枠を超え、社会にいいメッセージを残すことができたと思います」

 

 帝京大は留学生を受け入れてきたチームである。ニュージーランド出身のツイをはじめとした彼らの存在は、近年の躍進を支えてきた。日本人選手も外国出身選手とのコミュニケーションも在学中に経験し、学んできた。流は「言葉より同じ時間を過ごすことが大事」と言う。坂手は「お互いが歩み寄る。そこに壁はない」と語った。

 

 優れたリーダーを輩出してきたのも帝京大の特長だ。流、姫野、坂手は所属チームでキャプテンを務める。流、姫野はジャパンの次期キャプテン候補に挙げられる。彼らのリーダーシップがONE TEAMづくりに寄与したはずだ。

 

 パナソニックの新キャプテンとなったばかりの坂手はラグビー界全体でのONE TEAMを誓う。

「ラグビーの認知が広がっていけばいい。日本代表が子どもたちに目標とされるチームにしたいと思っています。そしてラグビーのいい文化を伝えていきたい」

 

(文・写真/杉浦泰介)