(写真:スクラムでは苦戦も重戦車軍団は健在。モールで押し込んだ)

 21日、第56回全国大学ラグビー選手権大会準々決勝が各地で行われた。東京・秩父宮ラグビー場での2試合は明治大学(関東対抗戦Aグループ1位)が関西学院大学(関西Aリーグ3位)を22-14、東海大学(関東リーグ1部1位)が筑波大学(関東対抗戦Aグループ4位)を24-3で下した。大阪・東大阪市花園ラグビー場での2試合は早稲田大学(関東対抗戦Aグループ2位)が日本大学(関東リーグ1部2位)を57-14、天理大学(関西Aリーグ1位)が流通経済大学(関東リーグ1部3位)を58-28で破った。準決勝は来年1月2日、秩父宮ラグビー場で明大と東海大が、早大と天理大が対戦する。

 

 対抗戦を全勝優勝した昨年の王者・明大が関西学院大に苦められながら、3大会連続の準決勝進出を決めた。

 

(写真:1年生SOの齊藤は3本のキックを成功させるなど、勝利に貢献した)

 明大は曇り空の秩父宮で大学選手権初戦を迎えた。対抗戦最終節からは約3週間のブランク。司令塔のSO山沢京平(3年)をケガで欠くこととなった。対戦相手の関西学院大は1回戦から勝ち上がってきた朝日大学(東海・北陸・中国・四国代表)を破り、準々決勝に進んできた。

 

 関西学院大の強みはセットプレー。明大もスクラムには自信を持っていたが、キャプテンでHO武井日向(4年)が試合後に「シンプルに強かった。関西の組み方は関東と違った」と関西学院大に分があった。7分に先制した明大に対し、関西学院大は数分後にひっくり返した。

 

 そこから5-7の時間が続いた。36分、明大は敵陣左サイドでラインアウトを獲得。武井のスローインからモールを組み、インゴールににじり寄る。最後はモールに加わっていた武井がインゴール左に滑り込んだ。SOに抜擢された齊藤誉哉(1年)がコンバージョンキックを成功し、12-5で前半を終えた。

 

(写真:後半に貴重な追加点となるトライを挙げるなど、サイドラインを駆け抜けた山﨑)

 後半はスコアが動かぬ時間が長く続いた。得点が入ったのは27分。紫紺のジャージーが歓喜に沸いた。LO箸本龍雅(4年)が中央突破。敵陣深くに迫ると、SH飯沼蓮(2年)から右へ展開し、齊藤、CTB射場大輔(4年)、WTB山﨑洋之(4年)と繋いだ。大外でボールを受け取った山﨑はインゴール右隅に飛び込んだ。難しい角度のコンバージョンキックを齋藤が成功し、12点差に開いた。

 

 ラインアウトを含め、セットプレーで劣勢を強いられた明大も意地を見せた。36分は相手ボールのスクラムで押し勝ち、ペナルティーを獲得した。ここでショットを選択し、齋藤がPGを決めた。15点差は2トライ2ゴールでも追い付けない。ほぼセーフティーリードと言っていいだろう。

 

(写真:最後に意地を見せ、トライを奪ったものの、初の4強入りは叶わなかった)

 ラストプレーで1トライ1ゴールを返されたものの、明大が関西学院大を8点差で下した。関西学院大の牟田至監督は「強みであるセットプレー、ディフェンスは最後まで見せられた。トライ数の差は地力の差」と語った。明大の武井は「厳しい試合は想定していたが、修正能力が甘かった」と反省した。

 

 準決勝は東海大が相手だ。ディフェンスに自信を持ち、準々決勝で筑波大をノートライに封じ込めた。2大会前の準優勝メンバーも残っている。明大の田中澄憲監督は「関西学院さんから学んだことを次のゲームに生かし、東海大学にいいチャレンジをしていきたい」と意気込む。

 

 今大会の決勝は新国立競技場が舞台だ。楽しみにする選手も多いが、田中監督は学生には新国立の話は「全くしていない」という。「最後に見れればいい」と一戦一戦に集中する。「僕らはあまり連覇とは考えていない。優勝するためには当たり前のことを当たり前に、当たり前以上にすることが大切」と山崎。明大は連覇に向けて、ひとつひとつと凡事徹底で頂点を目指す。

 

(文・写真/杉浦泰介)