30日、Jリーグはプロスポーツクラブ経営人材育成・開発事業「Jリーグヒューマンキャピタル」(JHC)の発足ならびに概要を発表した。JHCはプロスポーツクラブの経営の将来を担う人材の育成・開発が目的。立命館大学と提携し、2年間を想定した「教育研修コース」では一般公開型のマネジメント講座や選抜制によるJリーグやJクラブでの実践研修を行う。また3年目以降は教育研修コースの修了生を対象とするキャリアプラン設計からJクラブなどへの就業を支援する「キャリアデザイン」を設置。教育研修コース1年目(2015年5月〜16年2月)の講座は、原則として平日(火・木曜)の夜間(18:45〜21:45の2コマ)に行なわれ、全91コマの開講を予定している。2月14日にJFAハウスで講座説明会を行い、同日から出願受付を開始する。
「(チェアマン就任会見で)Jリーグが1つのスポーツビジネスという産業として発展するかどうかは、そこに人材が集まるかどうか、もしくは人材がそこで育つかどうかにかかっていると、直感的に現場をみることなく申し上げた。実際、私は51クラブを周った。数多くの志ある人が努力はしているけども、なかなか各クラブに経営人材の育成をすべて委ねてしまうと、そこにノウハウや余力があるわけではない。なので、各クラブではなかなか遂行の難しいものについては集約していこうということ」

 村井満チェアマンは、JHC発足の理由についてこう述べた。JHCはプロスポーツビジネスの当事者であるJリーグ自らが、提携教育機関との協働により行なう。一般公開型にすることで、ビジネス界の優秀な人材が集う枠組みをつくる。また、講座や研修のみならず、修了後の人材の活躍までをJリーグが担うこともポイントといえる。受講者は強固な人的ネットワークと他ではない機会を得られ、選手OBへの機会提供にもつながる。

 1年目の受講者50名は一次審査(書類審査)、二次審査(面接審査)を経て決定される。二次審査には村井チェアマン自らが面接を行うことも発表された。その意図について村井チェアマンは「チェアマン自ら本気でこれをやっているんだということをまず応募者に理解してもらいたい。本気でやっている人たちが集まらないと、参加者同士の相互の学び合い、刺激のレベルも高まらない」と説明した。

 受講者の選考に関して村井チェアマンは次のような要件を挙げた。
「スポーツビジネスに関する大きな夢を魅力的に語ることのできるか。夢を語るだけではなく、実際にいろいろ具体的に起こっている事象を、数字や論理構成で説明する能力も見たい。またスポーツビジネスは多くのお客様を前にするビジネスなので、様々なステークホルダーに対して粘り強く交渉することができるか。いろいろな失敗やトラブルがあっても、へこたれないで前を向いていくような胆力を持っているかも重要な要素。何より行動力を求めていきたいし、最終的には国際的な視点を持つコミュニケーション能力も見ていきたい」

 Jリーグの理念のひとつに「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」がある。村井チェアマンは語気を強めて「スポーツをもっと伝えていくことができれば、日本社会そのものがきっと豊かになるという強い信念を持ち、自分の生涯をそこにかけるくらいの覚悟のある方にきてほしい」と呼びかけた。チェアマンの熱き思いとともに、Jリーグは理念実現を目指す。

(文・鈴木友多)

<JHC 募集概要(一年次)>※予定
・講座形態=社会人向け公開講座(学位授与なし。修了時に立命館大学とJリーグによる履修証明書を発行)
・対象者=プロスポーツビジネスに関心のある社会人
・教室=立命館東京キャンパスおよびJFAハウスほか
・開講期間=2015年5月〜2016年2月
・日時=平日火・木曜日の夜間18:45〜21:45(2コマ開講)
※不定期に土曜・日曜日に開講、夏季集中の開講、一部オンデマンド授業あり
・講座数=91コマ
・受講料=30万円(税別)
・定員=50名

<出願および選考について>
出願受付は2月14日(土)より、専用Webサイトにて開始予定
【選考方法】
(1)第一次審査/書類審査、第二次審査/面接審査
(2)第一次審査の結果ならびに第二次審査の詳細については3月中〜下旬にメールで通知
※第二次審査は3月下旬(JFAハウス)を予定
【結果発表】
4月上旬に面接結果をメールで通知
合格者には書類を郵送
※受講料の支払期限は4月下旬を予定

<問い合わせ先>
Jリーグ・立命館「JHC教育・研修コース」事務局(担当:大前、十河)
TEL:075-813-8166
FAX:075-813-9167
E-mail:sharen01@st.ritsumei.ac.jp