20日、Jリーグは事務局で理事会を開いた。理事会後の会見で村井満チェアマンはクラブ経営の人材育成を目的としたJリーグヒューマンキャピタル(JHC)を設立する構想を明らかにした。クラブ経営をはじめとするスポーツビジネスに携わりたい人材を募集し、50名程度の規模で1年目は大学などと提携した講座で学ぶ。2年目にJリーグや各クラブで実地研修を行う。村井チェアマンは受講者の最終選考では自らが面接をする意向を示し、「頭でっかちではなく、胆力があり、数字に強く、コミュニケーション能力に長けた人材を輩出したい」と新事業への意欲をみせた。提携大は既に立命館大が決まっており、30日に改めて概要が発表される。
(写真:村井チェアマンは「51クラブで経験豊富な社長を輩出することがリーグの成功につながる」とJHC創設の目的を語る)
 会見内で村井チェアマンは、愛媛FCが2年間にわたって不適切な会計処理を行っていた点にも言及。「大変、残念な結果。多くのファン、サポーター、行政、スポンサーにも心配をかけている状況」と遺憾の意を表明した。リーグとしての対応は、第三者による事実関係の確認中であることから、報告を待って「制裁が必要であれば、処分する」と述べるにとどめた。

 また、サンフレッチェ広島の小谷野薫社長が4月の広島市長選への立候補を表明したことにも触れ、「リーグの規約でJリーグ関係者は政治活動ができない。選挙活動に入るタイミングでサンフレッチェに関わる役割については退任されると認識している」との見解を示した。19日には小谷野社長が村井チェアマンを訪れて報告をしており、この件に関しては「納得いただいた」という。

 今季からJ1のリーグ戦は2ステージ制に移行する。新年最初の理事会を終え、村井チェアマンは「新しい大会方式にチャレンジしていく年。何とか成功裡に運んでまいりたい」と抱負を語った。シーズン前の2月上旬には前哨戦として「Jリーグ・スカパー! ニューイヤーカップ」を創設する。これまで各クラブが個別に行っていたプレシーズンマッチを大会形式にして宮崎、鹿児島の2会場で集中開催するもので、初年度の今季は宮崎で3クラブ、鹿児島では4クラブがリーグ戦を展開する。

 加えてJクラブのACL制覇を目標に、12年から続けてきた「ACLクラブサポートプロジェクト」も今季はさらに充実させる。ACL出場クラブへのリーグ戦、カップ戦、天皇杯の日程面の配慮はもちろん、遠征費の補助、スカウティングのサポートなど日本サッカー協会と共同で出場クラブを支える。