プロ野球開幕まで4日と迫った23日、「セ・リーグファンミーティング2013」が東京ビックサイトで行われた。今年で3度目の開催となった同イベントの目玉は全6球団の監督が一同に集まってのパネルディスカッション。開幕投手の話題になると、すべての監督が選手名を公表した。巨人は菅野智之、阪神はランディ・メッセンジャー、広島は前田健太、中日は山井大介、横浜DeNAは久保康友、東京ヤクルトは小川泰弘が開幕投手を務める。
(写真:勢ぞろいした6球団の監督と、ドラフト1位の新人たち)
 昨年は巨人・菅野、中日・川上憲伸と、予想に反する開幕投手の発表に何度もどよめいた会場だったが、今年は“無風”だった。
 ファンによる開幕投手予想を見ながらトークを展開するコーナー、既に公表されている広島・前田、DeNA・久保、ヤクルト・小川については各球団の監督が改めて開幕投手であることを明言した。さらに巨人、阪神、中日も、それぞれ菅野、メッセンジャー、山井とのファン予想に、各監督が開幕で先発することを認めた。さらに中日・谷繁元信兼任監督は「ホーム開幕戦は大野(雄大)でいきます」と31日の巨人戦にぶつけることを明かした。

 この日、会場が最も盛り上がったのは、各球団のドラフト1位選手の紹介コーナーだ。壇上に上がったDeNAの1位右腕・山崎康晃(亜細亜大)に、中畑清監督が「ちょっとわからないピッチャー。先発するとたいしたボールを放らない。こいつダメだなと思って短いイニングで放らせると、とんでもなくいいボールを放る。なんで使い分けているんだ?」と“公開質問”した。

 山崎が「(先発だと)先のことを見ながら、考えながら投げている」と答えると、監督は「10年早い」とバッサリ。だが、「緊迫した場面が好き」と物怖じしない新人はリリーフに回って好内容をみせ、抑えの三上朋也が右ヒジ痛で戦列を離れていることから、代役を任される可能性も取り沙汰されていた。
(写真:山崎(左)は「ルーキーなんで強打者相手に真っすぐをど真ん中に投げていきたい」と力を込める)

 当初、中畑監督は「まだ抑えは、ちょっと早いだろう」と発言していたが、本人に「やってみるか」と促すと、山崎は「やりたいです」と即答。その心意気に、熱い指揮官は「OK! じゃあ、どうせやるなら厳しいところでやってみろ」と守護神での起用を決断した。「大きな目標があったほうがいい」というルーキーは「開幕からしっかりストッパーとして活躍します!」とファンの前で高らかに宣言した。

 また、開幕1軍が確実な広島のドラフト1位・野間峻祥(中部学院大)は、緒方孝市監督の新人時代の背番号「37」を背負う。緒方監督は「(37番は)昨年まで松山(竜平)がつけていたが、取り上げた。ぜひ彼につけてほしいと思っていた」と期待を寄せる外野手だ。野間が自身のセールスポイントを「足。内野安打を多く稼ぎたい」と語ると、指揮官は即座に「内野安打?」とツッコミ。ルーキーは「3ペースです」と慌てて言い替え、場内の笑いを誘っていた。

 今季は広島に黒田博樹が復帰し、2年連続最下位のヤクルトも大型補強を行うなど、久々に混セが予想される。4連覇を狙う巨人・原辰徳監督は「胸と胸を突き合わせて正々堂々と勝負したい」と、各球団の挑戦を受けて立つ構えだ。その巨人をクライマックスシリーズで下した阪神の和田豊監督は「リーグ優勝して日本シリーズにいかないといけない」と思いを強くしている。3月27日、いよいよ143試合の熾烈な戦いの火ぶたが切られる。
(写真:新監督対決となる広島−ヤクルトの開幕カード。ヤクルト・真中監督は「緒方監督にはスタイルでは負けるが、試合では負けない」)