日本サッカー協会(JFA)は14日、代表強化を含めた協会の今後の活動について中期計画を発表した。2030年までの目標として「サッカーファミリーが800万人になる」「日本代表チームはFIFAワールドカップに出場し続け、ベスト4に入る」の2つを設定。目標クリアに向けた今後8年間の重点施策を大きく8項目に分け、「JFAミッション2015-2022」として策定した。計画の概要を説明したJFAの大仁邦彌会長は「(ベスト4入りは)非常に難しい目標であることは分かっているが、高い目標を掲げて挑戦していきたい」と意気込みを語った。
(写真:「組織の基盤をしっかりしたい」と中期計画の狙いを話す大仁会長)
 2050年までのW杯日本開催、そして優勝という大きな“約束”へ、より具体的なアクションを起こす。
 JFAでは05年に「JFAの約束2050」と題して2つの目標を掲げている。ひとつは「サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーが1000万人になる」。もうひとつは「FIFAワールドカップを日本で開催し、日本代表チームは、その大会で優勝チームとなる」。このための中期計画としてJFAは「JFAの約束2015」をまとめ、10年間取り組んできた。

 10年の節目を迎え、JFAは普及面ではサッカーファミリーが500万人を突破し、世界トップ10の組織づくりを達成したと総括する。一方、代表の「世界トップ10入り」は、女子のなでしこジャパンが11年にW杯を初制覇したものの、男子が前回のブラジルW杯でグループリーグ敗退するなど結果を残せず、FIFAランキングも最高で13位だったことから、目標は未達成と判断した。

 そこでJFAでは今回の中期計画において、4年後のロシアW杯が開かれる2018年の強化目標を「トップ20」とした。また次のドーハW杯開催年となる2022年には「トップ10」入りを掲げ、2030年までにはW杯4強を目指すチームづくりを行う。

 技術委員会は強化指針としてあげるのは大きく分けて3つだ。ひとつは「原点回帰」。ゴールに向かう意識や、球際を制する強さを身につけさせる。次は「Japan\'s Way」。スピートやテクニック、運動量など日本人の強みを活かしたサッカーを展開する。最後は「世界基準へ」。フィジカルや戦術、メンタル面など世界との差を埋める作業を行う。

 このための一大拠点となるのが、2018年の竣工を予定しているナショナルフットボールセンターだ。この日、開かれたJFA理事会では千葉市の県立幕張海浜公園を設置場所の候補地に決定。今後、千葉県や千葉市と整備に向けた調整を行いつつ、具体的なプランを立てる。現時点では天然芝ピッチ2面、人工芝ピッチ1面などが設けられる構想で、都心に近い恵まれた立地で、代表のトレーニングのみならず、指導者や審判の講習も常時受けられる場として期待される。

 また今回、新たにサッカー関係者が共有すべき価値観として「JFAのバリュー」も設けられた。「エンジョイ」「プレーヤーズファースト」「フェア」「チャレンジ」「リスペクト」の5つで、すべての活動は、これらをベースにした発想の下、推し進められる。

「約束」「目標」「計画」「戦略」「理念」「ビジョン」「ミッション」……。発表された方針では、これらの用語が数多く登場する。
「単なるお題目にせず、全員が襟を正して責任と役割を果たしていきたい」
 大仁会長が語ったように、次に問われるのは「実行力」である。