国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長が2日、スイス・チューリッヒのFIFA本部で緊急会見を開き、辞意を表明した。会見では次期会長を選出する臨時総会の早期開催を求め、自身は立候補しないことを明言した。ブラッター会長は1998年から会長に就任し、5月29日には5選を果たしたばかり。しかし、幹部経験者が複数逮捕される贈収賄事件が勃発し、ブラッター会長自身もスイスの検察当局から事情聴取する可能性を報じられ、その対応に反発の声が強まっていた。
 あと4年の任期を残しながら、再選からわずか4日での退陣表明だ。
 会見でブラッター会長は辞任理由として、サッカー界全体の支持を得られていない点をあげた。汚職が明るみになって以降、欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ会長らが辞任を要求。先月の会長選では、対抗馬の候補に批判票が集まり、ブラッター会長は1回目の投票で選出に必要な3分の2以上の得票を得られなかった。それでもブラッター会長は「私がかじをとる」と強気の姿勢を示していたが、UEFAがFIFAからの離脱検討も示唆するなど組織をまとめきれなくなっていた。

 会長は会見で組織改革の必要性に言及した。ただ、FIFAの金銭をめぐる疑惑が浮上したのは今回が初めてではない。FIFAを巨大組織に膨張させたブラッター体制の闇の部分をどこまで解明し、出直すことができるのか。電撃辞任は問題の幕引きにはならない。

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