四国アイランドリーグPlusは現在、前期シーズンを終え、選抜チームが北米遠征中だ。19日現在、現地の独立リーグ球団相手に3勝4敗と、ほぼ互角の戦いを演じている。
 今回の選抜チームでエース格として公式戦初戦の先発を託されたのが愛媛の正田樹だ。昨季、途中入団し、今季は9試合に先発して防御率は驚異の0.90。トップタイの5勝(3敗)をあげている。緩急を生かしたピッチングは四国に来て、より円熟味を増した印象を受ける。NPB3球団、台湾2球団、独立リーグではBCリーグとアイランドリーグ両方を渡り歩いた左腕にインタビューした。
(写真:4月中旬から約1カ月間、52イニング連続無失点を続けた)
――前期は素晴らしい成績でしたが、振り返っていかがでしたか。
正田: 昨年の自分と比較すると、四死球の数も減り、その点では良かったと感じています。

――昨季は途中入団で、後期は6勝2敗、防御率0.99の成績でMVP。昨季を踏まえ、オフの間にどんな点を改善させたのでしょう?
正田: 特に変えたことはありません。オフは例年通り、鳥取のトレーニング施設(ワールドウィング)に行って、フィジカル強化に務めました。今年は最初から愛媛でやることが決まっていたので、春のキャンプで充実した日々を過ごせたのが良かったのではないでしょうか。

――今季は開幕投手も務めました。
正田: 開幕投手は台湾時代もやっていますから、それほど意識することなく投げられました。

――愛媛に入団後は先発を任されています。中4日での登板もありますが、先発での調整に慣れた面もあるのでしょうか。
正田: そうですね。先発は過去にも経験がありますし、僕のタイプとしては長いイニングを投げてゲームをつくるほうが向いているのかなと思っています。中4日は、中6日、5日に比べれば、もちろん疲労はありますが、さほど影響はなかったですね。

――他球団の監督、コーチやバッターに聞くと、「緩急の使い方がうまい」と口を揃えます。その点は自身の持ち味だと?
正田: もちろんです。緩急を最大限生かすことは昔から変わっていません。

――途中は52イニング連続無失点も記録しました。数字は意識しましたか。
正田: 全然、気にならなかったといえばウソになりますが、周りが言うほど意識はありませんでした。1試合1試合、投げ終えた結果として記録が続いていたという感覚でしたね。

――NPBや台湾プロ野球、BCリーグなど、さまざまな場所で投げ続けてきました。それらと比較してアイランドリーグのレベルはどう感じますか。
正田: うーん、それは難しいですね。こう言うと語弊があるかもしれませんが、僕自身としてはどこであろうと自分のピッチングは変わらないんです。ただ、独立リーグに関しては、若い選手が多い分、僕のような経験者は結果で示さなくてはいけない。成績を残さなくては、という危機感やプレッシャーは強いかもしれません。

――結果で示すという役割の中には、チームを優勝に導くことも含まれると思います。その意味では、この前期、愛媛は一時、首位を走りながら、優勝を逃してしまいました。
正田: 首位・香川との直接対決で先発を任せてもらって勝てなかった。その点は僕自身も悔しいですね。個人の成績は良かったかもしれないですけど、チームとして勝てなかったことは心残りです。

――NPBを目指す選手には、正田さんの経験から学ぶことも少なくないでしょう。若手に対して伝えたいことはありますか。
正田: 僕の姿を見て、もし「レベルが違う」と感じるのであれば、それは、なぜ違うのかを考えてほしいですね。まずは、その違いを埋めるに何をすべきか。監督やコーチ、いろいろな人に話を聞いて取り組むことが大事でしょう。常に、どうすればうまくなるかというテーマを突き詰めていってほしいなと思います。

――正田さんも現役選手として、これから先、さらにレベルアップしたい点は?
正田: これといったものはありませんが、ケガなく、1試合1試合、いい準備をしてマウンドに上がる。これが一番大切だと考えています。

――またNPBで投げる姿を待ち望んでいるファンも多いはずです。
正田: それはご縁があれば。今はNPBにこだわらず、ひとつでも上のレベルを目指していきたいというのが正直な気持ちです。今回対戦するアメリカの独立リーグというステージは僕のキャリアで、まだ経験のない部分です。新しい野球を肌で感じて、今後の人生につなげていきたいですね。

(Vol.2では香川・赤松幸輔選手のインタビューを掲載します) 

(聞き手:石田洋之)

6月19日(金)

◇Can-Amリーグ公式交流戦
 正田、3回9失点の乱調(ロックランド1勝、ポモナ、2,141人)
アイランドリーグALL STARS   3 = 100002000 
ロックランド・ボールダーズ    14 = 30610031×
[ア] ●正田(愛)−ブランセマ(徳)−山藤(徳)ー竹田(香)