明治安田生命J1リーグのファーストステージは20日、第16節が行われ、首位の浦和レッズが、アウェーでヴィッセル神戸に1−1で引き分け、勝ち点を38に伸ばしてステージ優勝を決めた。今季の浦和は11勝5分と開幕からの無敗記録を更新。1試合を残して史上初めて負けなしでの優勝を達成した。浦和は年間王者を決める11月末からのリーグチャンピオンシップに出場する。
“赤い悪魔”が圧倒的な強さを見せてタイトルを獲得した。引き分け以上で自力優勝が決まる浦和は、アウェーでの神戸戦は5連敗中。そんな“鬼門”も今季の彼らには関係なかった。
 
 27分、DF槙野智章がドリブルで中央突破。左サイドを上がったMF武藤雄樹にパスを送る。武藤のクロスに飛び込んだのがMF梅崎司だ。スライディングしながら右足で押しこみ、先取点を奪った。

 その梅崎が「前(の選手)も後ろ(の選手)も関係なく、前へ前へという気持ちを持っている」と明かすように、今季の浦和は新加入の武藤、梅崎が6ゴールずつ。5ゴールのFW興梠慎三とFWズラタンに、4ゴールのMF関根貴大と多くの選手が得点に絡んだ。結果、34得点はリーグトップ。分厚い攻撃で勝ち点を積み重ねた。

 この日は1点リードで迎えた後半30分、MF宇賀神友弥が2枚目のイエローカードで退場。数的不利を余儀なくされ、39分には右クロスからFW渡邉千真のヘディングシュートで同点に追いつかれる。

 しかし、守護神の西川周作や、日本代表DFの槙野を中心に勝ち越し点を与えず、歓喜の瞬間を迎えた。
「ミスが少ないことが勝ち、引き分けにつながっている」
 就任4年目でタイトルに導いたミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、これまでとの変化を口にする。

 昨季は勝てば優勝という展開から1分2敗と失速し、勝負弱さを露呈した。「去年の悔しさを糧にして、勝ちたい気持ちだけだった」という梅崎に代表されるように、今季はピッチ上の全員が高い集中力を発揮し、取りこぼしをしなかった。

 ファーストステージを制しても、「まだまだ通過点」(MF阿部勇樹)とチームに慢心はない。「またゼロから始まっていく。その気持ちで戦いたい」と指揮官も手綱を締めた。セカンドステージもチャンピオンシップで優位に立つ年間勝ち点1位へ、赤い軍団は邁進し続ける。