四国アイランドリーグPlusは現在、前期シーズンを終え、選抜チームが北米遠征中だ。
 今回の選抜メンバーにも選ばれ、前期、インパクトのある働きをみせたのが、香川のキャッチャー赤松幸輔だ。リーグトップの9本塁打、26打点。打率.327(リーグ3位)、得点圏打率.483と打ちまくり、チームの独走Vの立役者として前期MVPに輝いた。愛媛県出身で広島・瀬戸内高、名古屋商科大を経て、今季がアイランドリーグ1年目。188センチ、106キロと恵まれた体格は魅力たっぷりだ。強打のキャッチャーとしてNPB入りを狙う23歳にインタビューした。
(写真:4月は5割近い打率で月間MVPも獲得した)
――野球人生で優勝は初めての経験だとか。しかも自身か活躍しての優勝ですから、充実感があるのでは?
赤松: 優勝したのはうれしかったですけど、活躍したという実感がないんです。今までより試合数が多いので、その分、失敗した数の方がたくさん印象に残っているんです。バッティングでも、ここぞというところで打てなかった打席が多い。

――それでも本塁打9本、打点26はリーグトップです。
赤松: ホームランに関してはできすぎですね。でも、得点圏でヒットが出なかったり、もっと打点は増やせたと思っています。

――ホームランへのこだわりはそれほどでもないと?
赤松: 僕の中ではとにかくバットに当てて、広角に打つことを意識しています。泳いだり、突っ込んだりして、完璧に打ったという感覚がない打球が、結果としてホームランになっているものもちょくちょくあります。

――完璧な当たりとして印象に残っているホームランは?
赤松: 徳島戦(4月16日)の1本目と、福岡ソフトバンク(3軍)戦(5月24日)で打った2試合連続のホームラン。高知戦(5月28日)で右中間に飛ばしたのはいい当たりでしたね。

――打席の中で意識しているのは、遠くへ飛ばすことより、いかにうまくボールをとらえるかということでしょうか。
赤松: 状況に応じて、どういう打球を打てばいいかを考えています。その上で僕もキャッチャーなので、相手バッテリーの配球を読む。僕が一番、嫌いなのが三振。三振してベンチに帰る時ほど惨めなものはないので、追い込まれるまでに甘い球を積極的に打ちに行くことを心掛けています。

――西田真二監督からはどんなアドバイスを?
赤松: 最初は打った時に下半身がぐらつくことが多かったので、土台をしっかりさせて、インパクトの瞬間だけ力を入れるようにずっと言われてきました。最近は、あまり言われなくなってきたので、少しずつできるようになっているのかなと思っています。

――これだけ短期間に多くの試合数を経験することはなかったはずです。試合に出続ける中でつかんだものもあったのでは?
赤松: 芯に当たる確率は増えてきていると感じます。それで自然と打球も上がるようになっているのではないでしょうか。

――キャッチャーとしても継続してマスクをかぶる中で成長できた点は?
赤松: 同じバッターと何度も対戦して弱点もわかるのですが、さすがにそこばかりを攻めていたら、相手もヤマを張ってくる。その駆け引きをどううまくやっていくか、今まで以上に考えながらリードしました。これは大学時代までではできなかった体験ですね。

――先輩キャッチャーの有山裕太選手からも学んだこともあったとか。
赤松: 有山さんはキャッチャーとしての実績も実力も全然違う。スローイングやリードなどわからないことがあったら、聞きに行っていました。キャッチャーに関しては有山さんに教えてもらったことが大きかったですね。

――キャッチャーはいつから?
赤松: 高校3年からです。それまではサードやファーストをやっていました。監督が代わって「キャッチャーをやれ」と言われ、好奇心で始めました。最初はただやっていただけだったので、だんだんキャッチャーとしてやることが増えて、大変だなと……。

――NPBを意識したのはいつ頃でしょう。
赤松: 大学の最後の頃ですね。最初は社会人に進んでプロを狙うつもりでしたが、故障をして、その話がなくなってしまった。その時は野球を辞めようかとも思いました。でも、(名古屋商科大の)中村順司監督(元PL学園高監督)が「オマエはまだ上のレベルでできるからやってみろ」とプロのスカウトを呼んでくれたんです。毎試合のようにスカウトが見に来てくれて、「もしかしたら、行けるかも」と意識し始めました。でも、結局は指名はなく、「どうしようか」と悩んだ時に、(PL学園出身の)西田監督と縁があって「やってみないか」と。それで「四国に行って、上を目指したい」とアイランドリーグ行きを決めました。

――さらに上を目指すための課題は?
赤松: やはりキャッチャーとしての技術ですね。他球団の選手はどんどん走ってくるので、スローイングの質を上げてNPBのスカウトに見てもらいたいと思っています。バッティングに関しては、今以上の成績をあげるのは簡単なことではない。だから、調子の大きな波が出ないようにいい状態をキープしたいですね。まずは守備の面で貢献できるように頑張ります。

(聞き手:石田洋之)

6月25日(木)

◇Can-Amリーグ公式交流戦
 高田(愛)、一矢報いるタイムリー(トロワリヴィエール2勝1敗、トロワリヴィエール、2,252人)
アイランドリーグALL STARS   1 = 000000010
トロワリヴィエール・エーグルス  6 = 00011040×
[ア] ●正田(愛)−秋山(高)−竹田(香)−ブランセマ(徳)−山藤(徳)

【BCリーグ】

◇前期
 富山、秦兼任コーチ先発も5連敗(石川7勝1敗、高岡西部、332人)
石川ミリオンスターズ     7 = 010220011
富山GRNサンダーバーズ  5 = 001100003
勝利投手 多田野(4勝0敗)
敗戦投手 秦(0勝2敗)
セーブ   西村(1勝0敗2S)

<順位表>
FUTURE-East
        勝  負  分  勝率   差  残
1.新潟  23  9  3  .719  優勝  2
2.武蔵  19 14  2  .576  4.5  2
3.群馬  15 17  3  .469  3.5  2
4.福島   8 24  3  .250  7.0  2

ADVANCE-West
        勝  負  分  勝率   差  残
1.福井  20 13  2  .606  M1  2
2.信濃  18 14  3  .563  1.5  2
3.石川  13 19  2  .406  5.0  3
4.富山  11 20  3  .355  1.5  3