第184回 ピッチ内外のプロフェッショナルな姿勢に期待大(グレイグ・レイドロー)

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 新型コロナウイルスに関する話題ばかりのスポーツ界にあっては、久しぶりの明るいニュースである。

 

 

 元スコットランド代表主将で、日本のラグビーファンにもお馴染みのSH(スクラムハーフ)グレイグ・レイドローのNTTコミュニケーションズシャイニングアークス入りが決まった。

 

 言わずと知れた世界を代表するSHである。NTTコムにやってくる前はフランスの強豪ASMクレルモンでプレーしていた。

 

 日本ラグビーにとっては因縁浅からぬ選手だ。日本代表が3勝をあげた2015年W杯イングランド大会、唯一、黒星を喫した相手がレイドロー主将率いるスコットランド代表だった。

 

 この試合、レイドローは8本のキック(4G、4PG)を決め、ひとりで20得点をあげた。最終スコアは10対45。日本代表はレイドローの正確無比なキックに屈した印象がある。

 

 4年後、日本代表はリベンジに成功する。自国開催となった19年W杯、スコットランドを28対21で下し、初の決勝トーナメント進出を果たしたのである。

 

 レイドローには後半12分に交代するまで4得点(2G)を許したものの、大きな仕事をさせなかった。

 

 対戦した日本代表SH流大(サントリーサンゴリアス)のレイドロー評。

「彼はレフェリーとコミュニケーションを取るだけでなく、プレッシャーまで掛けていたんです。またチームメイトにもよく声を掛け、うまくまとめていましたね」

 

 ところでレイドローを獲得したNTTコムは10-11シーズンからトップリーグに昇格したが、これまでの最高成績は5位(16-17、18-19シーズン)。目標としているベスト4には、まだ届いていない。

 

 昨シーズンは南アフリカ代表HO(フッカー)マルコム・マークスを獲得し、「セットプレーを強化」(内山浩文GM)した。

 

 それに続く大物の補強。チームはレイドローを「(ベスト4の)殻を破るために必要なピース」(内山GM)と考えているようだ。

 

「我々が目指すラグビースタイルを進化させるためには、ピッチ上でのゲームマネジメント、局面局面での勝つためのチョイス、強力なリーダーシップ、レフェリーとのコミュニケーションの強化が必要。それを担えるのがレイドロー」(同)

 

 レイドローに対する期待は、オン・ザ・ピッチにとどまらない。「オフ・ザ・ピッチでの貢献にも期待している」と内山GMは言い、続ける。

 

「我々は社員選手が約6割を占めるチーム。彼には強いリーダーシップを発揮し、ピッチ内外においてプロフェッショナルな姿勢で、まわりを引っ張ってほしいと考えています」

 

 34歳という年齢からして、レイドローは日本をラグビー人生の終焉の地と考えているのかもしれない。

 

 新シーズンの開幕は、来年1月の予定。入団会見でレイドローは、こう意気込みを口にした。

「まずはトップ4の壁を破ること。その先にあるリーグ優勝を達成したい」

 

 コロナの霧が晴れていればいいが……。

 

<この原稿は『サンデー毎日』2020年8月16日・23日号に掲載されたものです>

 

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