新型コロナウイルス感染症拡大の影響、また感染予防のため2020シーズンの開幕が延期となっていた「プレナスなでしこリーグ1部」。それでも6月末のスポーツイベント(Jリーグなど)再開という世の中の流れを受け、7月18日(土)に待望のリーグ戦が開幕となった。

 

 

 

 

 

 

 

 昨年、2部リーグで優勝を飾り、華々しく1部昇格を果たした愛媛FCレディース。彼女たちの戦いに注目が集まる。

 

 開幕戦(第1節)ではセレッソ大阪堺レディースとアウェイにて対戦。DF佐藤比香理選手の先制ゴール。またFW上野真実選手の追加点で一時は2-0とリードしたが、後半20分あたりからの相手による怒涛の攻撃で3点を奪われ、2-3と逆転負けを喫した。記念すべき1部リーグデビュー戦は黒星でのスタートとなった。今後の課題も明確に見出せたのではないだろうか。

 

 7月26日(日)に行われた第2節では、INAC神戸レオネッサと対戦。昇格後初のホームゲーム(ニンジニアスタジアム)だったが、新型コロナウイルス感染予防対策のため無観客(リモート)での開催となった。

 

 前半10分、後方からのパスを受けたFW大矢歩選手が抜け出し、ペナルティアークからシュートを放つも敵GKに止められ、惜しくも先制ならず。得点機が巡ってこないものの、相手の猛攻を粘り強い守備で何とか耐え凌ぐ愛媛イレブン。0-0のまま迎えた後半28分。相手のスローインから左サイドをドリブル突破されると、そのままゴール前まで持ち込まれ失点。4年連続なでしこリーグ得点王のFW田中美南選手に先制ゴールを許した。その後、スコアは動かず0-1で試合終了。

 

 2連敗となったが、強豪クラブの攻撃陣を相手に、気持ちのこもった素晴らしい守備を魅せてくれたと思う。

 

 8月2日(日)には、伊賀FCくノ一三重をホームに迎え、第3節が行われた。この試合からJリーグと同様の超厳戒態勢下での有観客での開催となった。ただ、この日の会場はニンジニアスタジアムではなく、隣の愛媛県総合運動公園球技場。スタンドは小規模のため、前売りチケット数は約150席と少なかった(当日券も販売される予定はない)。そのため販売開始から1日程でチケットは完売となった。

 

 試合は序盤、相手に先制を許すも、前半27分にFW阿久根真奈選手の同点ゴールで追いつく。そして試合終了間際、大矢選手のアシストからMF仲松叶実選手が決勝ゴールを決め、2-1で愛媛が逆転勝利! 愛媛FCレディースが見事、なでしこリーグ1部で初勝利を収めた。

 

 彼女たちが1部リーグにおいても戦えるチームへと成長していることを証明できた一戦だったと感じる。

 

 8月10日(月)に行われた第4節ではジェフユナイテッド市原・千葉レディースと敵地で対戦。開始から一進一退の攻防が続くもスコアレスのまま試合終了。0-0の引き分けに終わった。後半は、相手に攻め込まれる時間帯が長かったが、GK吉原南美選手を中心にDF陣が踏ん張り、アウェイで勝ち点1を掴んだことは評価できると思う。

 

 8月15日(土)、ホームのニンジニアスタジアムに浦和レッドダイヤモンズレディースを迎えた第5節。今節も(制限付)有観客試合だったが600人近くのサポーターやファンが会場を訪れ、試合を見守った。

 

 前半15分過ぎ、DF松永早姫選手のヘディングシュートやMF西川早弓選手の左足でのシュートなど、惜しいシーンも見られたが得点には至らず。逆に23分、自陣ペナルティアークから敵MFにミドルシュートを決められ先制を許してしまった。後半、選手交代を用いて前がかりになった愛媛。途中出場のFW齋原みず稀選手の果敢なシュートも見られたが同点ゴールには繋がらず、スコア0-1のまま、試合終了。

 

 敗れはしたが、次戦への希望を感じさせる戦い振りに試合後、会場のサポーターからは愛媛の選手たちに温かい拍手が送られていた。

 

 8月22日(土)にアウェイにて行われた第6節では、ノジマステラ神奈川相模原と対戦。

 後半の立ち上がり、相手に先制を許してしまう。それでも後半35分、愛媛のカウンター攻撃から、敵ペナルティーエリア内にて、上野選手のアシストを受け、大矢選手がゴールを決め同点に追いつく。

 

 しかし、アディショナルタイムに自陣ゴール前で、愛媛選手のハンドを取られ、PKで勝ち越された。スコアは1-2で試合終了。あと少しのところで、勝ち点1を逃してしまった。

 

 (8月22日時点)第6節を終了して、愛媛FCレディースは「1勝4敗1引き分け(勝ち点4)」で10チーム中、9位という戦績。

 

 今季のリーグ戦は、まだまだ序盤。ここまでスコア的には1点差での接戦が続いており、戦えていないわけではない。ここからの巻き返しは充分に可能だ。

 

 2020シーズン、「挑戦」というスローガンを掲げて、日本女子サッカー最高峰の「なでしこリーグ1部」へと船出した愛媛FCレディース。

 

 高いレベルでの戦いと長距離移動での連戦など、体力的にも精神的にもハードな環境を初めて体感していることと思う。慣れない中、普段の仕事をこなしながらコンディションを整えることさえ大変な事だと思うが、それでも地域の支援者や子供たちに夢と勇気を届けるためにも、シーズンの最後までチームとスタッフ一丸で挑戦し続けてもらいたい。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。

 


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