NPBではアイランドリーグ出身選手の活躍が相次いでいる。千葉ロッテの角中勝也(元高知)は打率3割前後を放ち、中日に途中加入したドリュー・ネイラー(元香川)は初勝利をあげた。同じく中日の山本雅士(元徳島)はデビュー登板から2試合連続無失点。2軍では支配下登録された埼玉西武の水口大地(元香川)が7月の月間MVPに輝いた。
 四国では彼らに次いでNPB入りが期待される選手たちが、後期シーズンを戦っている。徳島の福永春吾は今季、BASEBALL FIRST LEAGUEからアイランドリーグへ。MAX150キロ超の速球とスライダーを武器に、4月の初登板では福岡ソフトバンク3軍相手に16個の三振を奪った。21歳の本格派右腕にインタビューした。
(写真:デビューから2試合連続の無失点で4月のグラゼニ賞を獲得した)
――前期は何といっても開幕戦でソフトバンク3軍相手に9回16奪三振無失点という好投をみせました。投げていて調子の良さを感じていたのでしょうか。
福永: あの試合は、一番いい状態で一番いい相手と対戦できて、一番いい結果が出ました。キャンプから開幕に合わせて体調を整えてきたことが、うまくつながりましたね。

――特に右バッターのインサイドにストレートがズバッと決まっていました。
福永: そうですね。角度をつけながら投げたいと、いつも意識しているので、それがうまくできていたと思います。

――2試合目の香川戦も9回無失点で完封勝利。自分ではイメージ通りのピッチングができたと?
福永: ただ、この2試合はいずれも球数が140球を超えていました。ローテ−ションを最後まで投げ抜く上で、毎試合140球も投げていたら、ちょっと厳しい。3試合目は違うスタイルで打たせて取ろうと考えました(4安打2失点で完投勝利)。

――6月にはリーグ選抜の一員として北米遠征にも参加しました。向こうの環境に慣れない点もあったでしょうが、いかがでしたか。
福永: マウンドは傾斜がきつく硬かったり、ボールもちょっと大きくて1個1個、縫い目が太かったり、ツルツルだったりと、工夫しながらの登板が続きました。思うような結果は出なかったのですが(3試合に登板して0勝2敗、防御率11.74)、今までやってきた野球と、また違ったものを経験できたことは、とても良かったととらえています。

――北米での経験を踏まえて、さらにレベルアップする上で取り組んでみようと感じた部分は?
福永: 今までだったら、どんな時も力で押し切れていました。でも、アメリカのバッターはもっと力があったんです。うまく打たせて取ったり、メリハリをつけることも上を目指す上では必要になってくると考えています。

――今、ストレートの球速は最高でどのくらい?
福永: MAX152キロです。アメリカから帰ってきて7月に出ました。それまでの147キロが最高だったので、5キロアップです。開幕前から球速アップのためにトレーニングを重ねてきた成果が出てきました。

――具体的にはどんなトレーニングをしたのでしょう。
福永: まずは下半身を鍛えました。上半身も単なるウェイトトレーニングだと直線的な動きになってしまうので、投げる動作に近いひねりを入れながら強化しました。

――高校卒業後、関西独立リーグ、BASEBALL FIRST LEAGUEの06BULLSで2年間プレーしました。
福永: 高校(金光大阪)2年の秋に右ヒジを疲労骨折して、残りの高校生活は投げられなかったんです。最低でもその分は野球をやりきりたい。そう考えて独立リーグでのプレーを選びました。ただ、1年半、ブランクがあったので、アイランドリーグやBCリーグではやれる自信がありませんでした。 

――06BULLSではバイトをしながらの生活でした。2年間で学んだことは?
福永: 試合数は少ないとはいえ、週1回、登板して経験が積めました。NPBとの対戦も大きかったですね。最初に対戦した時は真っすぐを投げても簡単にファールされて空振りがとれない。その時から考えると、NPBのバッターを抑えられるようになってきたので成長したのかなと感じます。

――プロを憧れではなく、本気で意識し始めたきっかけは?
福永: 関西でプレーしていて、元韓国プロ野球のピッチャーが一緒だったんです。話を聞いたりするうちに、もっと上の世界を見てみたいと思い始めました。

――それが、アイランドリーグ入りを選んだ理由につながったと?
福永: やはりNPB入りを考えた時に、環境やスカウトに見てもらえる可能性は四国が一番だと感じました。

――NPBと対戦を重ねて、独立リーグとの違いはどう感じていますか。
福永: 半速球のボールに対する対応が違いますね。真っすぐより10キロくらい落ちるスライダーなどは、独立リーグのバッターなら空振りすることが多い。でも、NPBのバッターはきっちりとらえて前に飛ばしてくるんです。

――となると、現在の軸であるストレートとスライダーに加えて、もうひとつ武器となる球種が必要ということでしょうか。
福永: はい。今は緩急をつけたいのでチェンジアップを磨いています。アメリカに行く前に取り組み始めたので、これを実戦でも使っていくつもりです。

――現状、奪三振は86個とトップです。三振へのこだわりはありますか。
福永: 奪三振のタイトルは狙っていますね。1番を獲れるものは全部獲りたいと思っています。

――NPBで目標にしているピッチャーは?
福永: ロッテの涌井秀章投手です。勝負どころではインコースを真っすぐやシュートでついて三振を取れるし、ランナーがいない時には、いい意味で軽く投げてバッターを抑えていく。そういったメリハリのあるピッチングができるようになりたいです。

――では、後期は“脱力”でNPBを狙うと?
福永: そうですね。もちろんNPBには全力でぶつかっていきますが、ああいうスタイルで即戦力として期待される結果と内容を残せればと思っています。NPBでは1軍で投げ続けられるピッチャーを目指したいですね。

(聞き手:石田洋之)

8月14日(金)

◇後期
 藤川、先発で5回3安打無失点(愛媛2勝1敗、坊っちゃん、1,608人)
高知ファイティングドッグス 0 = 000000000
愛媛マンダリンパイレーツ 2 = 00000002×
勝利投手 小林(7勝2敗)
敗戦投手 秋山(1勝6敗)

 吉田、2試合連続完投勝ち(徳島2勝1敗、レクザム、383人)
徳島インディゴソックス   5 = 110000120
香川オリーブガイナーズ  2 = 002000000
勝利投手 吉田(3勝3敗)
敗戦投手 太田(1勝4敗)

<順位表> 勝  負  分  勝率   差
1.徳島   7  3  0  .700
2.愛媛   6  3  1  .667  0.5
3.香川   4  5  1  .444  2.0
4.高知   3  7  0  .300  1.5

【BCリーグ】

◇後期
 木下、勝ち越しタイムリー(福井4勝、金沢市民、334人)
福井ミラクルエレファンツ   5 = 011003000
石川ミリオンスターズ     2 = 100100000
勝利投手 関口(5勝5敗)
敗戦投手 シール(5勝7敗)
セーブ   佐々木(2勝1敗6S)

 大平、同点打 9回に4点差追いつく(3分、長野県営、473人)
富山GRNサンダーバーズ  8 = 003002003
信濃グランセローズ      8 = 000002024(規定により9回引き分け)
本塁打  (信)大平8号2ラン

 雨天中止
新潟−福島(大原)
武蔵−群馬(フラワー)

<順位表>

FUTURE-East
        勝  負  分  勝率   差
1.福島  11  9  1  .550  
2.新潟  10  9  0  .526  0.5
3.群馬   9  9  1  .500  0.5
4.武蔵   7  9  4  .438  1.0

ADVANCE-West
        勝  負  分  勝率   差
1.福井  10  6  2  .625
2.富山   9  8  4  .529  1.5  
3.信濃   6  7  3  .462  1.0
4.石川   8 12  0  .400  1.5