8月20日(木)

◇決勝
 小笠原、9回に決勝弾&161球完投
東海大相模(神奈川) 10 = 202200004
仙台育英(宮城)     6 = 003003000
本塁打 (東)小笠原ソロ
 高校野球100年の節目にふさわしい熱戦となった決勝は最終回に決着がついた。
 先制したのは東海大相模。初回、前日に完封勝利をあげた仙台育英の先発・佐藤世那(3年)の立ち上がりを攻めた。1死二塁から杉崎成輝(3年)が右中間フェンス直撃の二塁打で二塁走者を迎え入れる。続く豊田寛(3年)も三遊間を破るタイムリーで2点を先行した。

 さらに3回、1死から連打でチャンスメイクすると、磯網栄登(3年)がインハイのボールを引っ張って三遊間を突破し、1点を追加する。続く長倉蓮(3年)もレフト左を襲う二塁打で、4−0とリードを広げた。

 このまま東海大相模ペースかと思われた試合は、直後に仙台育英が反撃に転じる。まず相手のエラーで出た走者を、青木玲磨(3年)がセンター前ヒットで還す。さらに平沢大河(3年)がセンター右への二塁打で続き、二、三塁。ここで郡司裕也(3年)、百目木優貴(3年)に連続タイムリーが飛び出し、3−4と1点差に詰め寄った。

 だが、東海大相模も4回に突き放す。2死二塁から宮地恭平(3年)のレフト頭上を越える二塁打で1点を追加。なおも一、二塁で、既に2安打を放っている豊田がレフト前へ運び、6−3と点差を広げた。

 しかし、仙台育英も諦めない。6回、四球とヒット2本ですべての塁を埋めると、打席には1番・佐藤将太(3年)。カウント1−2と追い込まれながら、アウトローのボールにくらいつくと、打球はグングン伸びてセンター左を抜ける。3人の走者が一気に生還し、6−6。ついに試合を振り出しに戻した。

 攻撃陣の頑張りに触発されたのか、仙台育英の佐藤は5回以降立ち直り、相手打線を無安打に抑える。東海大相模の先発左腕・小笠原慎之介も7、8回は3者凡退に仕留め、ゲームはがっぷり四つの展開となった。 

 そして最終回、東海大相模の先頭打者はピッチャーの小笠原。「三振してもいい。甘い球は振っていく気持ちでいった」と初球の高めに浮いた変化球をフルスイングする。打球は背走するライトの頭上を越え、そのままスタンドイン。ここまで力投を続けていた左腕が自ら勝ち越し弾を叩きこむ。

 この一発で流れは東海大相模へ傾いた。なおも1死二塁と得点圏に走者を置いて、杉崎がレフト線にポトリと落とし、8−6。次の豊田も左中間を割るダメ押し打を放った。その後も磯網のライトフライに二塁走者の豊田が一気に本塁を突き、4得点。雌雄を決する得点がスコアボードに刻まれた。

 最後のマウンドに上がった小笠原は簡単に2死をとり、青木もライトフライ。ガッツポーズしながらライトの豊田がキャッチし、歓喜の瞬間を迎えた。吉田凌(3年)、小笠原と左右の二枚看板を擁し、優勝候補の筆頭とみられた中での全国制覇。門馬敬治監督は「よく最後までしつこく、粘り強く、(秋の大会の)負けから立ち上がって、ここまできてくれた。感謝の一言です」と選手たちを称えた。

 東海大相模は春は2000年以降、00年、11年と2度制しているが、夏は1970年以来、45年ぶりの頂点だ。その時、チームを率いた故・原貢監督は今年、育成功労賞を受賞した。教え子でもある門馬監督は「よい報告ができます」と感無量の表情をみせた。

 敗れた仙台育英は、初の決勝進出だった26年前と同じ準優勝。第1回大会決勝で秋田中が敗れて以来、東北勢の悲願でもある甲子園優勝は、100年目の今年も、またお預けとなった。