現在(第29節終了時点)J2最下位の愛媛FC。既にシーズン後半の日程に突入しているにも関わらず、今季の勝利数は僅か5勝のみ。近況としては、アウェイの地で行われた第23節にてファジアーノ岡山に勝利してから約1カ月の間、勝ち星をあげてはいない。また、ホームゲームに至っては、約2カ月の間、勝利から遠ざかっているという危機的とも捉えられるような状況にある。

 

 今後の集客にも影響を与えるような、この深刻な状況下においてもクラブ側からの発言は少なく、多くのサポーターは不安と不満を抱えながら日々を暮らしている。

 

 6月のリーグ戦再開後、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、各種の制限により収益も落ち込み、慣れない環境の中、短いスパンで公式戦を消化しなければならず、少しばかり苦戦することは予想出来たものの、ここまで戦績が落ち込むことは考えもしていなかった。

 

 私達の愛媛FCは、シーズン最終節までに、どん底から這い上がることはできるのだろうか。

 

 今季のJ2では、コロナ禍ということで特別に年間順位による(成績上位の2クラブの自動昇格はあるものの)成績下位クラブの降格は行わないと発表されている。万が一、最下位が確定したとしてもJ3へ降格することはなく、来季もJ2へ継続参戦できる。

 

 それでも、シーズンを最下位の順位で終えるというのは不本意であり、気分が良いものではない。このままでは「クラブ史上、最悪のシーズン」として、今年を振り返えらなければならなくなってしまう。

 

 気分がモヤモヤしたまま、来季のスタートを迎えたとしても、私たちとしては良いイメージを抱くことが困難である。考えたくはないがシーズン最初に、つまずくようなことにでもなれば、ズルズルと負のスパイラルへと陥り、今度こそ降格を覚悟しなければならなくなる。だからこそ、2020年の残りのシーズン、死力を尽くして戦い、何がなんでも、どん底から這い上がり、サポーターの不安を払拭して欲しい。

 

 現況、ほぼ中2日や中3日のペースでJ2の公式戦を戦っている選手たち。その中日も半分は移動に費やすため練習は元より、コンディションを整えるだけでも大変だと思う。

 

 異例尽くめの今季、初めてのことが何層にも重なり、チームとしても戸惑いを感じているのかもしれない。

 

 クラブの運営費用に余裕があり、選手層が厚いチームなら、このタイトなスケジュールを乗り切ることも可能だと思うが、経済的にも余裕がないクラブにとっては、本当に厳しいシーズンとなっているように感じる。

 

 充分な時間を持てない中、選手たちの中に怪我人が、ひとりでも出てしまえば、チームのバランスを維持することも難しくなってしまう。想定よりも負担が増え、調子を崩す選手も出てくるのではないか。

 

 そんな苦難に立ち向かっている選手たちを見殺しにはできない。今こそ、サポーターの真価が問われる時。チームが苦しい時こそ、皆で力を合わせ、支えなければならない。私たちサポーターも12番目の選手として、チームと共に闘っていきたい。

 

 10月21日(水)に行われたホームゲーム(第28節)からは、サポーターによる手拍子に加え、(制限緩和により)太鼓などの鳴り物を使用した応援も再開され、選手たちへの後押しを可能な範囲で工夫しながら行っている。

 

 ご覧頂いているサポーターやファン、支援者の皆さんにも是非、スタジアムへ足を運んでいただき、実際に応援を体感し、参加して頂きたい。

 

 新型コロナウイルス感染症対策のため、まだ声を出し、皆でチャントを歌いながらの応援はできないけれど、頑張っている選手たちに、様々な方法で私達の気持ちと熱い思いを届け、共に最下位を脱出し、来季に希望を見出したい。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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