1月16日に開幕するジャパンラグビー・トップリーグ(TL)は今季を最後に幕を閉じる。ファーストステージとセカンドステージの2ステージ制で行われる。ファーストステージは16チームをレッドカンファレンスとホワイトカンファレンスの2組に分け、総当たりのリーグ戦だ。セカンドステージでは、トップチャレンジリーグの上位4チームを加えた20チームをファーストステージの成績で5組に分け、総当たりのリーグ戦で競う。セカンドステージの上位チームがプレーオフトーナメントに進出し、優勝チームを決定する。

 

 18年目を迎えるTL。ラストを飾るにふさわしく海外からビッグネームが参戦している。ニュージーランド代表(オールブラックス)のボーデン・バレットはサントリーサンゴリアス、オーストラリア代表(ワラビーズ)のマイケル・フーパーはトヨタ自動車ヴェルブリッツ、オールブラックスのTJ・ペレナラと南アフリカ代表(スプリングボクス)のマカゾレ・マピンピはNTTドコモレッドハリケーンズへ。現役バリバリの代表がズラリと顔を揃えるが、元代表の大物も加わった。スコットランド代表76キャップのグレイグ・レイドローはNTTコミュニケーションズシャイニングアークス、オールブラックス84キャップのベン・スミスは神戸製鋼コベルコスティーラーズに入団した。

 

 錚々たるビッグネームの中でもワールドラグビーの年間最優秀選手賞を2度受賞したバレットは大物中の大物だ。パス、キック、ランを高水準に備える司令塔。メインポジションはSOだが近年はFBの出場が目立つ。サントリーで本人はSOでのプレーを希望しているようだ。キャプテンの中村亮土は「全部にスキがなく、文句のつけどころがない」と口にしたように、プレーのみならず、その人間性も高く評価されている。神戸製鋼でプレーしたSOダン・カーターのようにチームメイトにとっては“教科書”となり得る存在だ。また彼の一挙手一投足にファンも注目している。バレットは「予測できないプレーを見てもらいたい」と抱負を述べた。

 

 サントリーには在籍2季目となるワラビーズのCTBサム・ケレビもいる。ジャパンの主力であるSH流大、CTB中村に加え、代表クラスを多数抱えるタレント集団だ。アタッキングラグビーを標榜する名門がバレットとのどんな“化学反応”を見せるのか。今季よりキャプテンに就任した中村は「毎試合、チームとしていい準備をし、最後のTLを優勝で終わりたい」と意気込んだ。

 

 優勝争いはこのサントリーと神戸製鋼を中心に展開されそうだ。LOブロディ・レタリックが残り、ユーティリティーバックスのB・スミス、SOアーロン・クルーデンが加わり、現・元オールブラックスを擁する。ジャパンのPR中島イシレリ、CTBラファエレ・ティモシー、FB山中亮平ら層の厚さはサントリーを上回る陣容と見られている。連覇を目指した昨季は開幕6連勝しながら中止となってしまった。“仕切り直し”のシーズンで再び頂を狙う。

 

 対抗馬となるのはトヨタ自動車、パナソニック ワイルドナイツか。No.8姫野和樹がシーズンの重なるスーパーラグビーに挑戦するため不在の予定だが、FLフーパーとNo.8キアラン・リードという世界トップクラスのバックローがいる。ワラビーズの現キャプテンとオールブラックスの元主将が、TL初制覇をもたらすことができるのか。5季ぶりの王座奪還を目指すパナソニックは昨季、中止となるまで神戸製鋼同様に全勝をキープしていた。オールブラックスのLOサム・ホワイトロック、スプリングボクスのCTBダミアン・デアリエンディらはチームを去ったが、イングランド代表45キャップのLOジョージ・クルーズ、ウェールズ代表29キャップのCTBハドレー・パークスを補強した。昨季大活躍のCTBディラン・ライリー、WTB竹山晃暉ら未来のジャパン候補も揃え、戦力は充実している。

 

 ビッグネームたちのワールドクラスのプレー、最後のTLの覇権争い、更には今季限りの引退を表明したヤマハ発動機ジュビロのFB五郎丸歩のラストイヤーなど見どころいっぱいだ。太田治チェアマンは「レベルの高い試合をファンにお見せしたい」と語った。来年にはTLに代わって新リーグがスタート予定。日本ラグビー界としても、いいかたちでバトンを繋げたい。ファーストステージは1月16日に開幕し、3月6日まで行われる。ラストイヤーのキックオフは刻一刻と近付いている。

 

(文/杉浦泰介)