(写真:トヨタ自動車は東芝との接戦をモノにした ©JRFU)

 20日、ジャパンラグビートップリーグ(TL)が各地で開幕した。レッドカンファレンスはNTTコミュニケーションズシャイニングアークス、トヨタ自動車ヴェルブリッツ、クボタスピアーズが白星。ホワイトカンファレンスは神戸製鋼コベルコスティーラーズ、パナソニック ワイルドナイツが開幕戦を勝利で飾った。

 

 1カ月遅れの開幕、約1年ぶりの公式戦だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、昨シーズンは6節で中止が決定。1月16日に開幕予定だった今シーズンは延期となっていた。ラグビー界が待ちに待った1日がやってきた。

 

 どこよりも早くスタートしたのは東京・江東区夢の島競技場でのNTTコミュニケーションズとHonda HEATの一戦だ。NTTコミュニケーションズはスコットランド代表76キャップのSHグレイグ・レイドロー、オーストラリア代表15キャップのFLリアム・ギルがTLデビューとなった。

 

 レイドローは正確なパスを繰り出し、ゲームメイク。前半7分にコンバージョンキックで初得点を挙げると、36分には初トライを記録した。後半31分にベンチへ下がるまで両軍最多の12得点を挙げ、41-13の勝利に貢献した。

 

 ヒュー・リースエドワードHCもその仕事ぶりを絶賛した。

「球出しをうまくコントロールし、風下でもSOフレッシャー・スミスに良いパスを供給していた。後半、シンビンの場面では10番(SO)でもプレー。瞬時に自分の役割をこなすワールドクラスの選手であることを証明した」

 

 トップ4入りを目指すNTTコミュニケーションズ。キャプテンのFL金正奎も「例年と違うシャイニングアークスを見せられている」と胸を張る幸先の良いスタートを切った。

 

 愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で行われたトヨタ自動車と東芝ブレイブルーパスの試合は1点を争う好ゲームとなった。

 

 序盤はトヨタ自動車がWTBヘンリージェイミー、FBウィリー・ルルー、FLフェツアニラウタイミのトライなどで21-0と差をつけた。一方の東芝もFLマット・トッドが前半30分にトライを挙げるなど点差を詰める。前半は24-7でトヨタ自動車がリードして終えた。

 

 後半は東芝が猛追。11分にCTBセタ・タマニバル、17分にはSHジャック・ストラトランがトライを挙げた。トヨタ自動車がWTB高橋汰地のトライ、SOライアン・クロニエのコンバージョンキックで再度突き放したものの、東芝は逆転を諦めない。

 

 29分にLOシオネ・ラべマイ、35分にはFLリーチマイケルのトライとSO中尾隼太のコンバージョンキックで1点差まで詰めた。しかし反撃もそこまで。34-33でトヨタ自動車が接戦を制した。東芝は序盤の連続失点、後半30分の中尾のコンバージョンキック失敗が痛かった。

 

 後半10分にトヨタ自動車のオーストラリア代表キャプテンでFLマイケル・フーパーがTLデビュー。チームメイトのニュージーランド代表元主将キアラン・リードと共にピッチに立った。日本代表キャプテンのリーチと対戦し、2019年W杯日本大会のベスト8に入ったナショナルチームの主将3人が同時にプレーし、ファンを大いに沸かせた。

 

 最後まで勝敗の分からない熱戦に両軍。リードは「タイトなゲームを制することができ、チームのみんなを誇りに思う」と称えた。一方のリーチも「どちらに転ぶか分からなかった。80分を通して東芝らしいラグビーができた」と語った。

 

(文/杉浦泰介)