いよいよ「FIVB(国際バレーボール連盟)バレーボールワールドカップ(W杯)2007」が11月2日、東京体育館および浜松アリーナで開幕する。この大会で3位以内に入れば、来年の北京五輪出場が決定するだけに、熾烈な争いが繰り広げられることが予想される。
 今大会にはFIVBランキング1位のロシアがヨーロッパ大陸予選で3位に甘んじ、出場権を獲得することができなかった。加えて2位の中国は五輪開催国であることから出場しない。そのため、アテネ五輪に続いて2大会連続の出場を目指す日本にとって今大会は、大きなチャンスといえる。
 現在、日本のランキングは7位。今大会出場12カ国中、日本よりもランキングが上位なのは3位・ブラジル、4位・イタリア、5位・キューバの3カ国のみ。もちろんランキングだけで楽観視することはできないが、選手にとっては発奮材料になることは間違いないだろう。

 だが、日本もうかうかはしていられない。キャプテンの竹下佳江も「どこが3位以内に入ってもおかしくない」と述べている通り、各国の差は縮まってきている。そのため、日本が上位国を破る可能性がある半面、下位の国が日本を負かすということも十分に考えられる。
 なかでも今、最も勢いのあるセルビアは要注意だ。昨年はセルビア・モンテネグロとして1978年以来、29年ぶりに世界選手権に出場。出場国中最下位の30位だったにもかかわらずイタリアやキューバを倒し、女子バレーボール界に衝撃を与えた。

 今年からはモンテネグロと分離し、セルビアとして国際大会に参加している。選手は全員セルビア人のため、幸いにもチーム力が半減されることはなかった。今年9月に行なわれた大陸予選でも堂々の2位に入り、一気に9位までランキングを上げている。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
 特に、高さとパワーを兼ね備え、長身から繰り出すスパイクと強烈なジャンプサーブが武器のイェレナ・ニコリッチ(WS)とアーニャ・スパソイエビッチ(WS)のレフト線は脅威だ。
 高さとパワーでは劣る日本はサーブレシーブの出来が生命線といえる。加えて司令塔のセッター・竹下が相手に的を絞らせない多彩な攻撃をしかけることができるかがカギを握る。

 一方、セルビアも日本には絶対に負けられないと、執念を燃やしてくるだろう。昨年の世界選手権でセルビアに初めて土をつけたのは、日本だったからだ。それも、2セット連取後のまさかの逆転負けという屈辱を味わっており、日本戦への思い入れは強いはずだ。

 そのセルビア戦は4日の第3戦に組み込まれている。日本もセルビアも第1、2戦に対戦する韓国、ドミニカ共和国に勝つのは前提条件。普段通りの力を出せば、両国ともに連勝で第1ラウンドの最終戦に挑むことになる。疲労が蓄積し、強豪国と対戦しなければならない第2ラウンド以降を考えれば、開幕3連勝で勢いに乗りたい、という思いは同じだろう。
 柳本晶一監督も「一番の勝負どころはセルビア戦」と断言している。互いに対抗意識を燃やしているだけに、最後まで目が離せない試合となりそうだ。


〜FIVBバレーボールワールドカップ2007(女子) 日本戦日程〜

【第1ラウンド】(東京体育館)
2日(金) vs.ドミニカ共和国
3日(土) vs.韓国
4日(日) vs.セルビア

【第2ラウンド】(大阪・なみはやドーム)
6日(火) vs.タイ
7日(水) vs. イタリア

【第3ラウンド】(札幌・きたえーる)
9日(金) vs.ペルー
10日(土) vs.ポーランド
11日(日) vs.ケニア

【第4ラウンド】(名古屋・日本ガイシホール)
14日(水) vs.キューバ
15日(木) vs.アメリカ
16日(金) vs.ブラジル
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