(写真:男子6人、女子1人の選手で今シーズンは臨む)

 3月に入り、伊予銀行テニス部が好調だ。久々の実戦となった3月1日から7日まで行われた日本テニス協会(JTA)公認大会の『CTA CUP春季ロイヤルSCオープン』で片山翔が江原弘泰(エキスパートシズオカ)と組んだダブルスで優勝した。その1週間後には『2021山梨北杜オープン3月』で河野優平&楠原悠介組と弓立祐生&大塚健太郎組がワンツーフィニッシュ。ダブルスに強い伊予銀行をアピールしている。

 

 

 

 

(写真:力を入れているダブルスで早速結果を残してみせた)

「ダブルスは普段の練習か自信を持ってやっている。その自信の表れが結果に繋がったと思っています」

 日下部聡監督は胸を張る。昨年秋からダブルス強化に取り組んできた。その成果が表れたかたちである。

 

 例年ならば、日本リーグ決勝トーナメントを2月に終え、新たなシーズンを迎えるところだが、今シーズンは様相が違う。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、鹿児島で予定されていた国民体育大会は延期(2023年に開催予定)、日本リーグは中止と実戦機会を失われた中でのスタートだった。遠征にもなかなか行けない状況下、それだけに3月の好成績はチームにとって大きな弾みがつくはずだ。

 

(写真:プロの片山<右>はプレー以外でもチームを牽引)

 2月下旬、地元でミニ合宿を行った。感覚を少しでも鈍らせないために、部内戦などで実戦形式の練習を中心に積んできた。「少ない経験値を補うことができたかなと思います」と日下部監督。指揮官によれば、合宿でチーム唯一のプロ選手である片山のアドバイスを送る場面が目立ったという。チーム内でのコミュニケーションも活発に行われ、「いいきっかけとなった合宿だった」と指揮官も手応えを感じた3日間だった。

 

 4月には実業団、大学、高校による団体戦『Japan Premium Tennis Tournament盛田正明杯』が千葉・吉田記念テニス研修センターで開催される。伊予銀行も橋本総業ホールディングス、三菱電機、レック興発、三井住友海上といった日本リーグのチームと共に参戦する。早稲田大学、慶應義塾大学、福岡の柳川高校、兵庫の相生学院高校、選手会選抜を加えた計10チームで優勝を争う。

 

「橋本総業の杉山記一監督から声を掛けていただいた。やはり日本リーグの中止は選手にとって大きなマイナス。コロナ禍で大会も制限される中、“選手がプレーする場を提供してあげたい”という思いから大会はスタートしました。高校生や大学生たちにも伊予銀行を知ってもらえる絶好の機会になると思います」(日下部監督)

 実業団、大学、高校と異なるカテゴリーのチームが戦う大会は珍しい。大会の模様は放映、配信が予定されており、注目度も小さくない。選手たちのモチベーションにもなるだろう。

 

(写真:地元ジュニアに指導するなど、育成・普及にも力を注ぐ)

 そのために昨年からのダブルス強化に加え、フィジカル強化に力を入れている。3月からは新たなトレーニングマシンを導入。心肺機能を鍛えるフィットネスバイク『パワーMAX』をクラブハウスに設置した。トレーニングメニューに組み込んでいる。

 

 日下部体制は4月で5年目となる。「時には教えないのも指導」と、自主性を重んじてきた。その成果もあってか、選手から練習メニューに対するリクエストも聞こえるようになってきたという。指揮官も「自分から能動的に動けるようにはなってきた」と変化を感じ取っている。

「大会が再開して選手たちの試合機会が増えたのは良かった。これまでもいつでも出られるような準備を選手はしてきている。自信を持ってプレーしてもらいたい」

 

(写真:愛媛県の高校生たちと合同練習を行うなど“チーム愛媛”として結束)

 各大会で結果を残すことはもちろんだが、地域貢献も伊予銀行にとっては重要なタスクだ。「愛媛の高校生と一緒に練習するなど、“チーム愛媛”として我々は活動してきました」(日下部監督)。第43回全国選抜高校テニス大会(3月20日~26日、福岡)に出場した愛媛県の新田高校、済美高校とは選抜大会前に合同練習を実施した。「逆に高校生たちから元気をもらうこともありました」と日下部監督。“チーム愛媛”の絆はより深まっている。伊予銀行は地域と共に前進する。

 

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