伊予銀行VERTZは2月10日にキャンプインした。現在は日本女子ソフトボールリーグ1部開幕に向け、トレーニング中だ。秋元理紗監督体制は7年目となる。今季は入行9年目の正木朝貴が新キャプテンに就任し、4人の新戦力が加わった。

 

 

 

 

 昨季は過去最高の7位。終盤までは決勝トーナメント進出の可能性を残していた。だが指揮官は満足していない。

「勝てなかった試合の方が記憶に残っています。順位だけを見れば、過去最高かもしれませんが、中身を見ると打撃成績が良くなかった。出塁率、打率は低い。力はそこまでない。その現実を直視すると、まだ手応えを感じられるとは言えません」

 

 秋元監督は新キャプテンに正木を任命した。

「今年はさらに結果を出していきたいシーズン。正木とは私のコーチ時代から一緒にやってきました。物事の徹底もスムーズにいく。正木をキャプテンにして“勝負をかけていくぞ”という思いです」

 守備の要であり、一昨季は打率3割を記録した正木には、攻守の要としてチームを牽引する。本人は「理想は姿勢や結果でチームを引っ張っていきたい。勝てるチームを目指します」と意気込んでいる。

 

 昨季のメンバーからは山口清楓の投手1人、照喜名真季と吉田愛純と宇佐美真紀の野手3人が抜けた。その代わり、大卒ルーキー3人と新外国人選手1人が加わった。全国大学選抜ソフトボール選手権大会(インカレ)を制した中京大学からは、主軸の川口茉菜が入団した。昨季は日本体育大学でインカレ2連覇した正捕手の安川裕美がデビュー戦(後半開幕節)で大活躍し、正捕手の座を掴んだ。サードと外野を守れる川口には即戦力としての期待が集まる。「アベレージヒッタータイプ。インカレで活躍し、彼女が打って勝った試合もありました」と指揮官の評価も高い。

 

 ピッチャーの注目選手は、トヨタ自動車レッドテリアーズから移籍してきたチェコ代表右腕のヴェロニカ・ペツコヴァだ。チーム初の“助っ人選手”。身長187cmから繰り出される力のあるボールが持ち味である。昨季は3試合の登板にとどまったものの、秋元監督は「ポテンシャルは高い」と語り、こう続けた。「身長が高く、球速があり、変化球もしっかり投げられる」。本人は打撃にも興味を示しており、その起用法にも注目だ。

 

 ペツコヴァの合流はまだだが、ZOOMなどオンラインでのコミュニケーションは取っている。

「とても真面目で良い選手ですね。昨季を経験して、日本リーグの雰囲気、日本のチームはどういうものかを分かっているのも大きい。日本人、チェコ人というのは感覚ではなく、同じソフトボール人。“助っ人外国人”ではなく、国籍を越えてチームでひとつになり、戦っていくイメージを持っています」(秋元監督)

 チェコから吹く新風がチーム力向上の追い風となるのか。

 

 指揮官は上位に食い込むために「攻撃力アップ」を掲げる。一発で試合をモノにすることはあったものの、好投するピッチャーを援護できず接戦を落とした試合もあった。1試合平均2.18得点はリーグ9位。貧打の解消は、初の決勝トーナメントを目指す上での必須課題と言えるだろう。今年のキャンプでも打撃練習を増やし、打ち込んでいるという。

「今は“準備と徹底”をテーマにキャンプを過ごしています。選手たちには、日々の練習のためにしっかり準備をし、それを徹底することを意識させている。シンプルですが、とても大事なことです」(秋元監督)

 

 昨季を振り返ると、過去最高の7位のほか、樋口菜美が本塁打王とベストナイン(DP)の2冠を獲得した。大卒新人の黒木美紀は新人王こそ逃したが、チーム最多の3勝を挙げ、リーグ5位の防御率1.43という活躍を見せた。飛躍のシーズンとなった選手たちには更なる進化を、一方で悔しい思いをした選手たちには奮起を望む。そうすればおのずと、上位への道は見えてくるだろう。

 

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