21日、東京オリンピックの開会式に先がけ、競技が開幕した。女子ソフトボールはオープニングラウンドが福島県営あづま球場で行われた。日本代表がオーストラリア代表に8-1で5回コールド勝ちを収めた。日本は1回表に先発上野由岐子(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)が押し出し死球を与え先制を許したが、その裏に追いつき、3回裏に内藤実穂(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)の2ランで勝ち越した。4回に3点、5回に2点を加え、幸先良いスタートを切った。

 

◇オープニングラウンド
 エース上野、5回途中1失点(福島県営あづま球場)
オーストラリア 1 =10000
日本        8 =10232×(5回コールド)
勝利投手 上野(1勝)
敗戦投手 パーナビー(1敗)
本塁打 (日)内藤1号2ラン、藤田1号2ラン、山本1号2ラン

 

 13年ぶりの“オリンピック連覇”に向け、日本がビックカメラ高崎BEE QUEEN勢の活躍で白星発進だ。

 

 2008年北京オリンピックを最後に正式競技が外れた女子ソフトボール。金メダルを獲得した当時のメンバーは上野、山田恵里(デンソーブライトペガサス)、峰幸代(トヨタ自動車レッドテリアーズ)の3人しかいない。12人がオリンピック初出場となる。6カ国で争うオープニングラウンドは、上位2チームが決勝で金メダルをかけて戦い、3位と4位のチームが3位決定戦を行う。その意味で連覇を狙う日本にとって、最大のライバルと目されるアメリカ戦まで、落としていいという試合はひとつもない。

 

 初戦のマウンドには、大方の予想通りエースの上野が立った。13年前の北京でもエースとしてチームを頂点に導いた鉄腕は、翌日(7月22日)に39歳の誕生を控えるが、今も日本の絶対的エースである。しかし初回は内野安打と四死球で1死満塁のピンチを迎える。カウント1-2からの4球目が5番バッターの右ヒジにボールを当ててしまい、押し出し。いきなり先制を許した。上野はマウンド上で苦笑いを見せた。

 

 ここで大きく崩れないのが上野は空振り三振、ピッチャーゴロで最少失点で抑えた。エースの踏ん張りに、打線が応える。1回裏、四球とワイルドピッチで二塁に進んだ内藤を、4番の山本優(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)がライトへのタイムリーで還す。宇津木麗華監督もかねてより「日本の4番として安心して見ていられます」と期待を寄せる主砲の一打で追いついた。

 

 3回裏には内藤が大会第1号を放った。エラーで出塁した原田のどか(太陽誘電ソルフィーユ)を二塁に置き、センターへ大きな当たり。勝ち越しのアーチを描いた。4回裏には“二刀流”藤田倭(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)がバットで貢献。ランナーを一塁に置き、レフトフェンスを越える一打を見舞った。「追加点が欲しい場面。自分のスイングができた」と胸を張った。

 

 原田の犠牲フライで1点を加え、4点差にリードを広げると、上野は5回のマウンドに上がった。1死から歩かせたところでお役御免。2番手の20歳・サウスポー後藤希友(トヨタ自動車レッドテリアーズ)がランナーの生還を許さなかった。上野は4回1/3を投げ、被安打2、7奪三振、1失点の好投だった。

 

 5回裏には山本がトドメを刺す一発。2ランを放ち、7点差にリードを広げ、5回コールド勝ちが決まった。この日、スタメン10人のうち半分がビックカメラ高崎に所属する。先発バッテリーの上野と我妻悠香(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)、ホームランを打った内藤、藤田、山本だ。宇津木麗華監督は「ひと安心」と初戦勝利に胸をなで下ろした。次戦は明日メキシコ代表と対戦する。

 

(文/杉浦泰介)