東京五輪女子サッカーのグループリーグ第1戦が21日、各地で行われた。グループEのなでしこジャパン(サッカー女子日本代表)はカナダ代表と札幌ドームで対戦し、1対1の引き分けに終わった。試合は前半6分、カナダのFWクリスティアン・シンクレアに左足で押し込まれたものの、後半39分にFW岩渕真奈(アーセナル)が右足でミドルシュートを決めた。この結果、グループEの2位につけたなでしこは24日、札幌ドームでイギリス代表と対戦する。

 

 10番・岩渕が値千金の同点弾(札幌ドーム)

なでしこジャパン 1-1 女子カナダ代表

【得点】

[カ] クリスティアン・シンクレア(6分)

[日] 岩渕真奈(84分)

 

 2大会ぶり5度目の五輪出場となったなでしこジャパンの初戦の相手は2大会連続銅メダルのカナダ。格上に終始ペースを握られたが、得意のショートパスではなくロングフィードから相手守備陣の裏を突けたのはひとつの収穫だったのではないか。

 

 6分、なでしこは左サイドをFWニシェール・プリンスに突破され、クロスをあげられる。これを2列目から飛び込んできたシンクレアが右足インサイドで合わせる。シュートはポストに当たったが、シンクレアにこぼれ球を左足で押し込まれ、カナダに先制された。

 

 なでしこは低い位置でしかボールを保持できなかった。2トップのFW菅澤優衣香(三菱重工浦和レッズレディース)とFW岩渕真奈(アーセナル)にボールが入っても後ろからのフォローがなく、苦しい展開だった。

 

 後半開始から高倉麻子監督は菅澤に代えてFW田中美南(INAC神戸)ピッチに送り込んだ。その田中にチャンスが転がり込む。2分、MF長谷川唯(ACミラン)が左サイドから低く速いクロスを入れる。これに田中が反応するが、相手GKと交錯。一度は田中のファウルを取られるが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)により、なでしこのPKに判定がかわった。キッカーの田中は左サイドを狙ったがGKに阻まれた。なでしこはビッグチャンスを生かせなかった。

 

 その後、カナダにチャンスを作らせないものの、2大会連続銅メダルの強豪カナダの守備は堅かった。

 

 なでしこが突破口を見出したのは得意のショートパスではなくロングパスからだった。39分、ハーフウェイライン付近右サイドから長谷川が相手DFラインの裏にロングフィードを送る。これに岩渕がいち早く追いつきダイレクトで右足一閃。シュートはバウンドしながらゴールネットに吸い込まれた。

 

 なでしこはエースの一撃で何とか同点に追いつき試合終了。五輪初戦で強豪カナダから勝ち点1を奪った。

 

(文/大木雄貴)