高知ファイティングドックスに3年間在籍し、今季限りで退団する岸健太郎投手が福岡ソフトバンクの打撃投手に採用されたことが明らかになった。岸はソフトバンクが秋季キャンプを行っていた宮崎でテストを受け、王貞治監督より「いい球を放っている」と評価を受けていた。

▼角中(ロッテ)、伊藤(ヤクルト)がドラフト指名選手にエール
 岸はリーグ初年度(05年)から高知に在籍。記念すべき開幕ゲームで好リリーフをみせ、勝利投手になった。以後も3年間、主にチームの中継ぎ役を務め、通算成績は105試合、12勝12敗1S、防御率3.73だった。

 今シーズン3位に終わったソフトバンクは相手チームの左腕に苦しめられた。成瀬善久(ロッテ)に0勝2敗、防御率1.77、武田勝(日本ハム)には0勝3敗、防御率1.93と封じられた。左サイドスローの岸は左腕対策の練習相手として貴重な“戦力”となる。

 3年間、サウスポーを指導してきた藤城和明前監督は「育成ドラフトで3選手が指名されたのと同じくらいうれしい。チームは裏方あってのもの。松中(信彦)や小久保(裕紀)らリーグを代表するバッターといつでも対戦でき、うらやましい職業ともいえる。単に選手としてNPBに入るだけでなく、別のルートを開拓した意義は今後のアイランドリーグにとって大きい」と喜びの声を寄せた。

<角中、伊藤がドラフト指名選手にエール>

 アイランドリーグ出身で1年目のシーズンを終えた角中勝也(千葉ロッテ)、伊藤秀範(東京ヤクルト)が、チームにやってくる“後輩”たちに祝福の言葉を送った。

 宮本裕司(高知)、小林憲幸(徳島)、白川大輔(高知)と育成枠で一気に3選手がやってくるロッテの角中は「ロッテは自分のやりたい練習を比較的自由にやらせてくれる。能力を伸ばしやすい環境だと思う」と入団を歓迎。今季の角中はイースタン・リーグ2位の打率.335をマークし、1軍でも初安打を放った。「僕も四国では打てなかったが、ファームでは結果を残せた。宮本さんはいいバッターだし、他の選手も絶対成功すると思う」。来季、更なる飛躍が期待される若手の星は、彼らの活躍に太鼓判を押した。

 松山で秋季キャンプ中のヤクルト・伊藤は、6巡目で入団する三輪正義と2年間、香川でともにプレーした。「足が速くて守備範囲も広い。足だけなら去年でも充分、上で通用すると思っていた」と、同じユニホームでの1年ぶりの再会を楽しみにしていた。「(育成枠の)小山田(貴雄)とバッテリーも組んでみたい。お互いに1軍目指して頑張りましょう」。高田繁新監督を迎えた新生スワローズに、元アイランドリーガーが貴重な戦力となることを誓った。
 
<高知の新監督に元南海・定岡智秋氏>

 高知ファイティングドッグスは退団が決まった藤城和明前監督の後任に、南海で内野手として活躍した定岡智秋氏を、新コーチに巨人、西武で俊足を飛ばした宮崎一彰氏が就任したと発表した。もうひとりのコーチは現在人選中。

 定岡智秋新監督は1953年、鹿児島県出身。巨人の元投手・正二氏、広島、日本ハムに在籍した徹久氏による“定岡三兄弟”の長兄にあたる。また息子の卓磨内野手は千葉ロッテに在籍している。

 現役時代はショートのポジションで、長崎セインツ・河埜敬幸監督と二遊間コンビを組んだ。現役時代の通算成績は実働16年で1216試合出場、打率.232、88本塁打、370打点。現役引退後は長年、南海、ダイエーのコーチや二軍監督を歴任。現在の強いソフトバンクの基礎づくりに貢献している。長年の経験を生かした選手育成に期待が集まる。

 また宮崎一彰新コーチは地元・高知県四万十市の出身。明徳義塾高では甲子園に出場し、プロ入り前に米国独立リーグに在籍した経歴をもつ。00年にドラフト7位で巨人に入団し、06年に西武に移籍したが、同年限りで戦力外となった。目だった1軍実績は残せなかったものの、1メートル67の小柄な体でガッツあふれるプレースタイルはファンに印象を残した。

 なお、宮崎コーチはまだ32歳と若いことから、リーグ初のプレーイングコーチとして来シーズンに臨む。元NPB選手のリーグ在籍は天野浩一、亮寛(ともに香川)に続き3人目だが、野手では始めて。同じ独立リーグのBCリーグでは新潟・根鈴雄次兼任コーチが打率.392、富山・宮地克彦兼任コーチが同.332と好成績をおさめ、格の違いをみせた。宮崎コーチもまずはプレーで、新生ファイティングドッグスを引っ張ることになる。

 球団の新社長には武政重和氏が就任することも合わせて発表された。武政氏は高知県黒潮町出身の33歳。北古味鈴太郎球団オーナーと高校の同級生で、藤川順一球団代表兼GMとも仕事上の取引先だったことが縁となった。

<香川・シェパード、退団>

 IBLJは香川の外国人、シェパード・シバンダ内野手の退団を発表した。シェパードはリーグ初の外国人選手として、昨年ジンバブエから来日。1年目は24試合出場で打率.163、2年目の今季は5月に初本塁打を放ったが、32試合の出場にとどまっていた。本人は18日にBCリーグのトライアウトを受け、新天地でのプレーを目指す。

香川オリーブガイナーズ
 シェパード・シバンダ(内野手、2年目) 32試合、打率.108、1本塁打、2打点
※成績は今季


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