昨夏の甲子園の優勝投手で、早稲田大学に入学した斎藤佑樹投手が14日、東京六大学春季リーグの開幕戦となる東京大学戦で先発デビューを果たした。斎藤は6回をゼロに抑えて、チームは8−0と快勝。斎藤はデビュー登板を白星で飾った。
 長い六大学野球の歴史の中で、1年生が春季リーグの開幕戦に先発したのは77年ぶり、早大では初めての快挙――歴史の1ページにその名を刻んだ背番号「16」は晴天の中、神宮球場に詰めかけた1万8000人のファンを前に落ちついたピッチングを披露する。軸足を曲げてタメを作る独特のフォームから投げ込まれた白球はコントロールよく捕手の構えたミットに収まった。

 初回をわずか10球で三者凡退に切ってとると、5回までリーグ戦30連敗中の東大打線をパーフェクトに封じる。6回、先頭の大坪誉博(3年)にライトフェンス直撃の初安打こそ許したが、快音はその一本のみ。この回限りでマウンドを後続に託した。

 結局、この日の斎藤は74球を投げて6回1安打無失点、毎回の8奪三振の内容。
「夏の甲子園をピークとすると60点くらい」
 開幕前にはそう斎藤を評していた応武篤良監督も「出来すぎ」と喜ぶ快投だった。

 1年生が春季リーグ開幕戦で先発して勝利投手になったのは1927年の慶応大学・宮武三郎投手以来、80年ぶり2人目。甲子園で大フィーバーを巻き起こした18歳の青年が、今度は神宮を舞台にスターの道を歩み始めた。

○早大・応武監督 
 開幕前から投手陣が心配だった。開幕戦の重苦しい雰囲気の中、斎藤がよく投げてくれた。うちの投手は経験が浅い人間が多い。甲子園の大舞台を経験している斎藤の(開幕戦)先発は3月の沖縄キャンプの時に決めていた。今日の内容は出来すぎ。1球1球丁寧に投げていたのが良かったと思う。

○早大・斎藤佑樹
 初めて大学のマウンドで投げられてうれしい気持ち。夏の大会が終わって、今日までいろいろなことを想定してピッチング練習をしてきた。
 1球目は緊張したが、それからは平常心で投げられた。試合に勝ったという部分では合格点だが、課題はある。明日からのチームの勝利に貢献できるよう修正したい。