11月5日(月)

プロ野球
 千葉ロッテを戦力外通告された吉井理人投手が現役を引退し、北海道日本ハムの投手コーチに就任することが明らかになった。戦力外通告後、現役続行を希望して移籍先を探していたが、コーチ就任の打診を受け入れることになった。選手兼任はせず、コーチ業に専念する見込み。
 吉井は1983年のドラフト2位で箕島高から近鉄に入団。5年目の88年、仰木彬監督(当時)に抑えに抜擢され、10勝2敗24セーブの成績を残して最優秀救援投手のタイトルを獲得した。続く99年も20セーブをあげ、チームのリーグ優勝に貢献した。95年、ヤクルトに移籍。3年連続で2ケタ勝利をマークして、その間2度、日本一の美酒を味わった。
 FA宣言を行い、98年にメジャーリーグへ挑戦。ニューヨーク・メッツに移籍して99年にはポストシーズンゲームで、ランディ・ジョンソン(ダイヤモンドバックス)、グレッグ・マダックス(当時ブレーブス)と投げ合った。メジャー通算5シーズンの成績は32勝47敗、防御率4.62。

 03年に日本球界に復帰(オリックス)し、04年オフには一度、戦力外通告を受けたが、翌春のキャンプにテスト参加。近鉄とオリックスの合併で就任した仰木彬監督の評価を受け、再契約を果たした。06年には東北楽天に勝利し、プロ野球5人目となる12球団勝利を達成している。
 今シーズンも開幕当初は先発で投げていたが1勝しかあげられず、2軍落ち。先発の機会を求めて、6月末に千葉ロッテに移籍した。しかし、4試合に先発して0勝3敗に終わり、来季の構想から外れていた。現役通算成績は121勝129敗62セーブだった。

 2年連続の日本一を逃した日本ハムは梨田昌孝新監督が就任し、体制を一新しようとしている。佐藤義則投手コーチとは契約を結ばないことが既に発表されており、近鉄時代の後輩にあたる吉井に白羽の矢が立てられた。
 今季の日本ハムはチーム防御率が3.22(リーグ2位)。投手力でリーグワーストの得点力(526点)をカバーし、リーグ連覇を達成した。メジャーの舞台も経験した若きコーチがいかに投手力を維持し、高めていくか。その手腕に注目が集まるところだ。

<カープ・黒田、FA宣言>

 広島の黒田博樹投手が5日、球団事務所を訪れ、フリーエージェント(FA)申請書を提出してFA宣言を行った。14日から国内外すべての球団と交渉が解禁になるが、黒田自身は国内移籍は否定しており、メジャーリーグの各球団と交渉を行い、渡米か残留かの結論を出すことになる。

 広島からFA宣言したのは川口和久、江藤智(いずれも巨人へ)、金本知憲(阪神へ)に続いて4人目。これまで球団はFA宣言した選手を引き留めない方針だったが、昨年、黒田がFA権を取得した際に、宣言後の残留を認める方針を示している。
 昨オフ、黒田はFA権を行使せず、4年総額12億円で広島と新たに契約を結んでいた。ただし、契約期間中でもメジャーリーグ挑戦を容認する条項が盛り込まれており、今回、黒田はその権利にしたがってFA宣言することになった。

 黒田は96年ドラフト2位で専修大からカープに入団。2001年に12勝をあげると、3年連続で2ケタ勝利をあげ、セ・リーグを代表する右腕に成長した。05年には最多勝、06年にはリーグ17年ぶりの防御率1点台(1.85)で最優秀防御率のタイトルを手にしている。

 いまや日本を代表するスターターに対して、メジャーリーグの10球団以上が興味を持っており、マリナーズやカブス、メッツなどが獲得に乗り出す方向だ。また前日本ハムのヒルマン監督が指揮をとるロイヤルズも参戦する意向だ。松坂大輔、岡島秀樹(いずれもレッドソックス)のルーキーが結果を残し、メジャーリーグの日本人投手への評価はさらに高まっている。各球団がどのような条件提示をし、最終的に黒田がどんな決断を下すのか。背番号15の動向から目が離せない。
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