31日、東京パラリンピック車いすバスケットボール女子準々決勝が東京・有明アリーナで行われた。A組3位の日本代表はB組2位のオランダに24-82で大敗した。日本は5、6位決定戦に回り、オランダは準決勝進出。そのほかアメリカ代表、ドイツ代表、中国代表が4強入りを果たした。

 

◇女子準々決勝

 バイヤー、38得点11リバウンドのダブルダブル(有明アリーナ)

日本 24-82 オランダ

【第1Q】6-28【第2Q】6-18【第3Q】8-20【第4Q】4-16

 

 世界トップクラスとの差をまざまざと見せつけられた。日本はグループリーグ(GL)でオーストラリア代表とイギリス代表を撃破。2016年リオデジャネイロパラリンピック銀メダルのドイツには勝利まであと一歩と迫った。失礼を承知で言えば、3大会ぶりのパラリンピック出場となった日本の快進撃を予想した者は決して多くなかったはずだ。

 

 GLをA組3位で突破した日本が対戦するのは16年リオパラリンピック銅メダルで、18年世界選手権女王のオランダだ。いずれも日本が出場すら叶わなかった大会で結果を残したヨーロッパの強豪である。ここまでの1試合平均得点は出場10カ国中トップの69.5点。そのことから分かるように圧倒的なオフェンス力を誇る。

 

 ティップオフ直後からオランダにペースを握られた。相手のシュートが面白いように決まるのに対し、日本はなかなか入らない。第1Q、オランダはサイズを生かし、ローポストで構えるマリスカ・バイヤーにボールを集める。1次リーグ3試合で平均23.0得点の点取り屋は、日本にとっても脅威であり続けた。このQだけで16得点。スコアの半分以上が彼女の得点だった。

 

 バイヤー1人にやられたわけではない。高く、そして厚い壁が日本のオフェンスを機能させなかった。中をきっちり固められ、スペースつくれない。外でパスを回せど、いたずらに時間は経過し、結果タフショットに追い込まれる。シュートは外れ、リバウンドも奪われる悪循環。チームスタッツを比較してもフィールドゴール成功率は日本が17%に対し、オランダが74%と大きく差がついた。シュート本数はほぼ同じで、スコアは6-28。これは出鼻をくじかれたどころの話ではない。

 

 第2Q序盤はシューターの小田島理恵がアウトサイドからシュートを決めて勢いに乗るかと思われた。だが、チームは6得点止まり。第1Qよりは失点減らしたが、点差は開く一方だった。12-46でハーフタイムを迎えた後もその差は広がるばかり。次第にオランダのシュート精度も落ちてきたものの、日本の得点も最後まで伸びなかった。終わってみれば58点差の大敗。トリプルスコア以上の差をつけられた。選手たちが口々に「ディフェンスから流れを掴むことができなかった」と語ったように、GLで披露した“日本らしさ”はノックアウトステージで出せなかった。

 

「高く、そして速い。予想以上の身体能力だった」と岩佐義明HC。オランダとは大会直前に練習試合を行っており、その強さは肌で感じていたはずだ。本番モードの強豪は一味も二味も違ったということか。好材料が見つけにくい試合ではあるが、選手たちは悔しさを滲ませつつも、心までは折れていないように映った。メダルの可能性は潰えたが、試合の機会はまだ残されている。

 

 3日後、GLで敗れたカナダ代表と5、6位決定戦を行う。岩佐HCは「もう一回ディフェンスを整えて臨む」と語った。藤井郁美と共同主将を務める綱本麻里は「勝って終わる」と意気込む。今大会初黒星を喫した相手へのリベンジの機会。この日は見せられなかった“日本らしい”攻守の切り替えが速いバスケットを期待したい。

 

(文/杉浦泰介)