4日、「FIVB(国際バレーボール連盟)バレーボールワールドカップ(W杯)2007」第1ラウンド第3戦が東京体育館などで行なわれた。日本は昨年の世界選手権で銅メダル、今年9月のヨーロッパ選手権では堂々の銀メダルを獲得し、波に乗るセルビアと対戦した。粘り強さをみせた日本だったが、セットカウント1−2で迎えた第4セットは最後の最後にセルビアに逆転を許し、今大会初黒星を喫した。
(写真:ブロックのタイミングをずらしスパイクを決める高橋)

セルビア 3−1 日本
(25−20、25−20、18−25、26−24)
 先発メンバー6人の平均身長は178センチの日本に対し、セルビアは189センチとその差はなんと11センチ。驚異的な高さに加え、パワーも兼ね備えたセルビアに日本はどう戦っていくのか――。今大会で北京五輪の出場権を獲得できるかどうかを占う大事な一戦となった。

 日本の動きは決して悪くはなかった。セルビアのパワフルなサーブにもきちんと対応し、最も重要視されていたサーブレシーブで崩されることはほとんどなかった。だが、第1セットは試合後の会見で竹下佳江、栗原恵が口をそろえて「自分たちのバレーをさせてもらえなかった」と語ったように、セルビアの高さに翻弄され、本来の攻撃ができずに終わった。

 続く第2セットは一進一退の攻防となった。セルビアは変わらず高い打点から突き刺さるようなスパイクを決めていく。一方の日本はブロードや時間差などで相手ブロッカーのタイミングを外すなどの工夫を凝らしながら、必死でくらいついていった。しかし終盤、日本はレシーブにミスが続き、このセットも落とす。

(写真:観客も日本の勝利を信じ、必死で応援し続けた)
 後がなくなった日本。柳本晶一監督は選手らに「もう一度、サーブレシーブを集中してやろう」と声をかけた。気持ちを新たに臨んだ第3セット、日本はサーブレシーブをきちんと司令塔の竹下に返すことで本来の速いバレーを展開する。逆にセルビアはミスを連発し、自らリズムを崩していった。最後はセルビアのサービスミスで日本が第3セットを奪った。
 2セットダウンから脅威の粘りでセルビアを逆転で下した昨年の世界選手権を彷彿させるような展開に、会場は熱狂の渦に巻き込まれていた。

 第4セットも主導権を握ったのは日本だった。荒木絵里香の速攻がきれいに決まり、幸先よいスタートを切った日本に対し、セルビアはエースのイェレナ・ニコリッチのバックアタックがネットを越えず、2ポイントを日本に連取される。動揺を隠し切れないセルビア。たまらずゾラン・テルジッチ監督がタイムアウトをとり、冷静さを取り戻そうとした。だが、その後もレシーブでミスを連発するなど、自らリズムを崩していく。

 怒涛の攻撃で日本は22ポイント目を奪い、6ポイント差をつけた。昨年までのセルビアなら、このままズルズルといっていただろう。だが、そうはいかなかった。追い込まれた状況で再度立て直しをはかる術を身につけていたのだ。6ポイントを連取し、あっという間に同点に追いついた。
 互いに2ポイントずつを奪い、24−24とした。セルビアの思いも寄らぬ逆襲にショックが大きかったのか、日本はここから粘ることができず、一気に2ポイント連取され、今大会初めての負けを喫した。
(写真:攻守に安定感が光ったエースのニコリッチ)

 これで日本の通算成績は2勝1敗となった。3戦全勝はブラジル、イタリア、米国、セルビアの4カ国。日本にとって厳しい状況であることは間違いないが、今後の展開によってはまだ五輪の出場権獲得のチャンスはある。
 6日からは場所を大阪に移し、タイとイタリアとの2連戦に挑む日本。これからの一戦一戦が北京への道につながっていく。
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