23日、世界ランキング10位のラグビー日本代表(ジャパン)が同3位のオーストラリア代表(ワラビーズ)に23-32で敗れた。ジャパンは今後ヨーロッパ遠征へ。テストマッチを3試合(現地時間11月6日・アイルランド代表、同13日・ポルトガル代表、同20日・スコットランド代表)行う。

 

 ジャパンはヨーロッパツアーに向かう前に、4年ぶりのワラビーズ戦に臨んだ。2017年11月に日産スタジアムで行われた試合は30-63と完敗だった。19年W杯日本大会ではともにベスト8入りを果たしたが、ここまでの歩みは対照的である。

 

 ジャパンが6月のヨーロッパ遠征で連敗を喫したのに対し、ワラビーズは8月からスタートした南半球4カ国対抗「ザ・ラグビー・チャンピオンシップ」を4連勝で終えていた。

 

 先制したのはワラビーズ。前半7分、花園近鉄ライナーズでプレーするSOクウェイド・クーパーのパスからWTBトム・ライトがトライ。クーパーはコンバージョンキックを決め、7-0でワラビーズが開始早々にリードを奪った。

 

 ジャパンは3年ぶりの先発起用となったSO松田力也のPGで3点を返すも、ワラビーズに1トライ1ゴールで3-14と突き放された。ここで魅せたのが久々にジャパンの10を背負った松田だ。

 

 26分、敵陣深くに攻め込み、中央でSH流大からパスを受けると、右サイドへキックパスを送った。これをWTBレメキ・ロマノ・ラヴァがキャッチ。1人をかわしてインゴール右隅に飛び込んだ。

 

 中央に寄ってきた相手ディフェンスの手薄になった大外を狙う技ありのキックパスだ。レメキからのコールを受けた松田は「良いキックをすればスコアしてくれる」と迷いはなかった。松田は右隅からの難しい角度のコンバージョンキックも成功し、10-14と1トライで逆転できる点差に詰めた。

 

 その後両軍がPGを決めて、前半は13-17で終了した。ジャパンは8分にレメキが危険なタックルでシンビン(10分間の一時退場)を科されるなど、後半10分までに2トライを奪われ、13-27と引き離された。15分にCTB中村亮土のインターセプトトライ、SO田村優のコンバージョンキックで7点差。34分には田村のPGが決まり、4点差と迫った。

 

 1トライで逆転――。しかし、次にスコアしたのはワラビーズだった。38分、右ラインアウトからのモールで押し込まれ、インゴール右隅にトライを許した。

 

 試合は23-32でノーサイド。強豪相手に善戦した見ることもできるが、厳しい見方をすれば勝てる試合を取り切れなかったとも言える。「負けたのでいいゲームじゃない。勝つために準備をしてきた」とPR稲垣啓太が語ったように、ジャパン側に“善戦で良し”とする姿勢はない。

 

 セットプレーで苦しんだ印象だ。スクラムは相手からペナルティーを獲得することもあったが、マイボールラインアウトでボールをスティールされることが目立った。後半開始早々と試合終了間際の失点はラインアウトからのモールで取られた。

 

 ジェイミー・ジョセフHCは試合をこう総括した。
「7月から時間が空いて最初の試合。自分たちはいいプレーができ、選手たちのモチベーションは高く良いところが見れた。改善点はいくつかのエリアの部分である。ひとつは規律。17回のペナルティーがあった。これでは強豪チームに勝つことはできない。ヨーロッパツアーで改善できるよう頑張っていきたい」

 

 公式記録上は14回の反則だったが、それほど反則が目立ったということだろう。失点に繋がっているペナルティーも多いだけに、分析して改善する必要がある。ライオンズ、アイルランド戦に続く連敗となったが、ヨーロッパ遠征で再戦するアイルランド、そしてポルトガル代表、スコットランド代表には勝って2021年を締めくくりたい。

 

(文/杉浦泰介)