7日、第54回日本女子ソフトボールリーグ1部決勝トーナメント最終日が福島県営あづま球場で行われた。リーグ戦1位のビックカメラ高崎BEE QUEENが同2位のトヨタ自動車レッドテリアーズを3-0で下し、3年連続14度目の優勝。3位には昨季準優勝のHonda Revertaが入った。決勝トーナメントの最高殊勲選手賞(MVP)は藤田倭(ビックカメラ高崎)が、優秀選手賞には後藤希友(トヨタ自動車)が選ばれた。

 

◇決勝

 藤田、自身初の日本一導く先制打(福島県営あづま球場)

トヨタ自動車レッドテリアーズ 0 = 0000000

ビックカメラ高崎BEE QUEEN 3 = 000003×

勝利投手 上野(1勝0敗)

敗戦投手 アボット(0勝1敗)

 

 来年から「JD.LEAGUE」と生まれ変わるため、最後のシーズンとなった日本女子ソフトボールリーグはビックカメラ高崎の3連覇で幕を閉じた。

 

 決勝の先発マウンドには決勝トーナメント初戦に続き濱村ゆかりが立った。岩渕有美監督は今季は6勝を挙げ、防御率はリーグトップの0.65と抜群の安定感を誇った右腕に任せた。

 

「我妻(悠香)さんを信じ、思い切って投げるだけ」と濱村。マスクを被る我妻のミット目がけ、腕を振った。我妻も序盤は慎重にリード、変化球を軸に勝負した。濱村は先頭打者の出塁を許したものの、初回1死から8者連続で抑える力投を見せる。

 

 トヨタ自動車の先発はモニカ・アボット。東京オリンピックにも出場したアメリカ代表のサウスポーは同日本代表6人を並べるビックカメラ高崎打線に立ち塞がった。5回まで毎回の7三振を喫した。

 

 先に動いたのはビックカメラ高崎ベンチだった。

「試合が続いていてハマ(濱村)は投球イニングも増えていた。行けるところまでいこう、と。最後はウチのエースに託す思いでした」(岩渕監督)

 4回無失点の濱村に代え、上野由岐子をマウンドに送る。

 

 上野は先頭打者を四球で出し、得点圏まで進められたが後続を断ち、0で抑えた。6回表も1死二塁のピンチを招いたが、トヨタ自動車の3、4番を封じ、得点を与えなかった。

 

 6回裏、ついに均衡が破れる。先頭の市口侑果が内野安打で出塁すると、送りバントの構えを見せていた内藤実穂はアボットの球をよく見て、フォアボールを選んだ。無死一、二塁で回ってきた好機に、4番・藤田は初球、送りバントを試みた。

 

 結果はファウル――。この時の心境を本人はこう語った。「正直終わったと思いました」。この日、2度の対戦では「甘い球がなかった」と三振と四球。ヒットは打てずにいた。さらに2ストライクと2球で追い込まれた。

 

 3球目、藤田はアウトコース高めの真っすぐにうまくバットを当てた。フルスイングしたかたちではなかったが打球は伸び、右中間を破った。タイムリーツーベースで待望の先制打。藤田が「オリンピックの再現VTR」と振り返ったように、アボットからのタイムリーは東京オリンピック決勝同様に価値ある一打となった。

 

 続く大工谷真波のタイムリーツーベースでホームを踏んだ。ビックカメラ高崎は3点のリードを得て最終回を迎える。上野は先頭の石野江里佳にあわやホームランという当たりを打たれたが、後続を切って取り、無失点のまま試合を締めくくった。

 

◇3位決定戦

 先発・後藤、4回無失点の好投(福島県営あづま球場)

Honda Reverta         1 = 0000100

トヨタ自動車レッドテリアーズ 2 = 002000×

勝利投手 後藤(1勝1敗)

敗戦投手 カーダ(1勝1敗)

本塁打  (H)巽1号ソロ

※ページシステムのためトヨタ自動車が決勝に進出

 

(文/杉浦泰介、写真:©公共財団法人日本ソフトボール協会)