11日、巨人は東京ヤクルトを自由契約になっていたセス・グライシンガー投手と正式契約を結んだことを発表した。2年総額5億円で背番号はヤクルト時代と同じ「29」に決定した。
 今オフ、ヤクルトから残留の要請を受け、2年総額7億円を提示されたが、最後まで折り合いがつかず、交渉は決裂。自由契約の身となったグライシンガーは「在京の優勝を争える球団」への移籍を希望していた。そのグライシンガーにとって、今季5年ぶりにリーグ優勝を果たし、来季はリーグ連覇、さらには6年ぶりの日本一を狙う巨人は、願ってもない移籍先だった。そのため、ヤクルトを下回る額での合意となった。

 グライシンガーは1996年にドラフト1巡目で指名を受け、翌年にデトロイト・タイガースに入団。ミネソタ・ツインズ、アトランタ・ブレーブス、韓国・起亜を経て、2006年オフにヤクルトと契約した。1年目の今季は30試合に登板し、16勝8敗、防御率2.84の好成績をマーク。最多勝のタイトルを獲得するなど、リーグ随一の右腕として活躍した。

 現在、米国に帰国しているグライシンガーは、就労ビザ取得手続きを経て、来年1月下旬に来日する予定だ。190センチの長身から投げ下ろすストレートと、抜群のコントロールを誇る最多勝右腕は、果たして “常勝軍団”復活の起爆剤となるのか――。

 今月5日には元横浜の守護神、マーク・クルーン投手を獲得した巨人。今後は、ヤクルトを退団しているアレックス・ラミレスの獲得も視野に入れているとみられており、巨大補強はまだ続きそうだ。

黒木、オファーなく引退を決意

 12日、千葉ロッテから戦力外通告を受け、自由契約となっていた黒木知宏投手が、現役引退を発表した。黒木は10月に球団から戦力外を通告されたが、他球団への移籍を希望。先月、2度に渡って行われたトライアウトは受けず、オファーを待っていた。しかし、黒木の元に誘いの声は届かず、今季限りでの現役引退を決意した。

 黒木は1994年にドラフト2位でロッテに入団。97年からは5年連続で2ケタ勝利を挙げるなど、長年に渡って不動のエースとして活躍した。98年には最多勝、最高勝率のタイトルを獲得。初めてプロが参加した2000年のシドニー五輪にも出場するなど、球界を代表とする右腕として君臨した。

 しかし、01年に右肩を故障して以来、全盛期の球威は戻らず、徐々に登板機会は減少。今季の登板は1試合のみとなり、2年連続で勝ち星を挙げることができなかった。通算成績は199試合に登板し、76勝68敗1セーブ、防御率3.43。

 ロッテ一筋13年、“ジョニー”の愛称で多くのファンから親しまれた黒木。13日の34歳の誕生日を前にユニホームを脱ぎ、新たな道を歩む決心をした。
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