1月7日と言えば、「昭和」から「平成」への改元が発表された日である。「内平(たい)らかに外成(な)る」。後に“平成おじさん”と呼ばれる小渕恵三官房長官(当時)の説明は、今も耳の奥に残っている。今から32年前の話だ。

 

 年が明けた1月7日、ラグビー新リーグの「リーグワン」がスタートする。東京・国立競技場での開幕戦は東京ベイ(旧クボタ)対埼玉(旧パナソニック)。この1試合だけ、他カードに先駆けて行われる。

 

 下馬評では前身のトップリーグ最終シーズンを制した埼玉に分があるとの見立てがほとんどだが、東京ベイの石川充GMは「いい意味で大方の予想を裏切ってみせたい」と意気込む。どちらが勝つかも大事だが、この一戦に限っては、それ以上に内容が問われることになるのではないか。さらに言えばリーグワン、ひいては日本ラグビーの未来をも占う試合になるかもしれない。過去に、そんな例がある。

 

 1993年5月15日、国立競技場。Jリーグは春畑道哉の幻想的なギターの音色とともに幕を開けた。「スポーツを愛する多くのファンの皆様」で始まる初代チェアマン川淵三郎のスピーチも素晴らしかった。「サッカーを愛する」ではなく「スポーツを愛する」としたところが肝で、新興のJリーグが先頭に立って旧態依然とした日本スポーツ界を変えていくとの気構えがビンビン伝わってきた。

 

 開幕戦はヴェルディ川崎対横浜マリノス。JSLの2強で、多くの選手を代表に送り込んでいる点が評価された。他のカードは翌日に回された。

 

 先制したのはヴェルディ。Jリーグ初ゴールは前半19分、オランダ人FWヘニー・マイヤーによってもたらされた。「口もききたくない」と言う程、関係が悪化していたラモス瑠偉が真っ先に飛びついたのには驚いた。後半3分、マリノスはブラジル人MFエバートンの右足で同点に追いついた。

 

 そして14分、マリノスに決勝ゴールが生まれる。「あれは神様が演出したゴール」。後にそう語ったのはMF水沼貴史だ。「クロスを送ったのが、これからの日本サッカーを背負っていくDF井原正巳。それをつないだのが、これまでの日本サッカーを支えてきたMF木村和司さんと僕。最後に決めたのが世界的に名の知られたFWラモン・ディアス。日本と世界、若手とベテラン、全てがつながった奇跡的なゴールでした」

 

 ラグビーの神様が演出したトライ。1月7日、そんな歴史的瞬間に立ち会いたい。

 

<この原稿は21年12月22日付『スポーツニッポン』に掲載されたものです>


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