プロボクシングのバンダム級ダブル世界戦が10日、大阪府立体育会館で行われ、WBC世界バンタム級王者の長谷川穂積(真正)が、同級1位の挑戦者シモーネ・マルドロット(イタリア)を判定3−0で下し、同級日本人最多5度目の防衛に成功した。
 一方のWBA世界バンタム級タイトルマッチでは、同級4位の池原信遂(大阪帝拳)が王者ウラディミール・シドレンコ(ウクライナ)に挑んだが、判定0−3で敗れた。
 長谷川は立ち上がりこそ慎重だったが、細かく左右にスイッチする変則スタイルのマルドロットの動きにも落ち付いて対処。スピードのある左右の連打で主導権を握るが、2R、マルドロットの左のパンチで右まぶたをカット。その後、回を追うごとに出血がひどくなるも、攻撃の手を緩めず、逆に8R、左フックでマルドロットの右まぶたをカットさせる。
 終盤に入っても両者ともスピード、スタミナに衰えを見せず、最終12Rには激しい打ち合いとなったが、持ち味のディフェンスと得意の左フック、連打による攻撃で、危なげなく戦い切った長谷川が、116-112、117-111、118-110と大差の判定3−0で、同級国内最多記録となる5度目の防衛に成功した。

 千里馬神戸ジムから昨年10月、山下正人トレーナーが新設した真正ジムに移籍し、最初の防衛戦となった。試合後、「負けたら(移籍が)間違っていたと思われるので、負けないことが一番だと思ってやった」と長谷川。2Rのカットについては「バッティングかなと思ったが、パンチだったのでいけなかった」と語り、3−0の完勝にも、「どこかでラッシュを出しておきたかったが、カットが怖くなってしまって、思うような試合ができなかった。(結果は)何ともいえない。勝ったことだけが評価される内容。申し訳ないです」と笑顔はなかった。
 日本ジムに所属する現役世界王者は5人で変わらず。
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