(写真:先制トライの尾﨑<14>を祝福する流。東京SGはアタックで魅せた)

 8日、「NTTジャパンラグビーリーグワン2022ディビジョン1」が各地で行われた。東京・味の素スタジアムの試合は、東京サントリーサンゴリアスが東芝ブレイブルーパス東京を60-46で下した。そのほかNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ・浦安はコベルコ神戸スティーラーズに24-23、横浜キヤノンイーグルスは33-12でNECグリーンロケッツ東葛に勝利した。

 

 東京SGとBL東京の府中ダービー、前身のトップリーグ(TL)時代から凌ぎを削ってきたライバルが開幕戦で激突した。TL優勝回数はともに最多の5度。日本選手権は東京SGが8度、BL東京が6度である。

 

(写真:マッケンジーのプレースキックルーティンである微笑む姿はこの日は何度も見られた)

 両チームの注目選手は揃ってスタメン入り。東京SGのオールブラックス(ニュージーランド代表)40キャップを誇るダミアン・マッケンジーがFB、BL東京の昨秋ジャパン初キャップを記録した身長201cmのワーナー・ディアンズがLOで起用された。

 

 まずはマッケンジーがいきなり魅せる。開始早々、自陣でジャッカル。守備で貢献すると3分にはCTB中村亮土にパスを繋いで、WTB尾﨑晟也のトライを演出した。コンバージョンキックは外したものの、東京SGが先手を取った。

 

(写真:重戦車のようなFWの奮闘もあり、6トライを奪ったBL東京)

 一方、BL東京の初トライは19歳のディアンズだ。9分、ラインアウトモールからFLリーチ・マイケルがゲインする。ゴール前まで迫ると、ディアンズがインゴール中央に飛び込んだ。SOトム・テイラーのコンバージョンキックが決まり、7-5と逆転した。

 

 その後も点を取り合い、前半は27-24とBL東京のリードで終えた。拮抗したゲームとなったが、後半は東京SGが一気に攻勢を仕掛けた。

 

(写真:持ち前の強靭なフィジカルを生かした突破でハットトリックを達成したマクマーンはMOMにも選ばれた)

 4分、9分とNo.8ショーン・マクマーンのトライで逆転し、36-27とリードを奪う。マクマーンは前半27分のトライと合わせ、ハットトリックを達成した。BL東京に1トライ1ゴールを返され、2点差まで迫られたが、マッケンジーのPGで39対34と突き放した。

 

 23分には途中出場のWTBテビタ・リーが自陣からビッグゲイン。インゴール目前まで迫り、最後は同じく途中出場のSH齋藤直人がトライを挙げた。27分には中村のキックパスを大外で受けたリーがインゴール左隅にトライ。マッケンジーのコンバージョンが決まり、53-34と20点近いリードを広げた。

 

(写真:中村は1トライに加え、味方のトライも演出するなどアタックでの貢献度が光った)

 30分、中村のトライとマッケンジーのコンバージョンで、この試合最大の26点差をつけ、勝敗をほぼ決定づけた。BL東京に2トライを還されたものの、60-46でノーサイド。東京SGがリーグワンでも持ち味のアグレッシブ・アタッキング・ラグビーを見せ、7トライで開幕戦を白星で飾った。

 

 東京SGのキャプテン中村は「今日勝てたことにホッとしています」と開幕戦勝利に安堵した。1万57人を集めたホストゲームについては、「TLとは違ったホームの雰囲気があった。新型コロナウイルスの状況にもよりますが、満員で黄色く染まるスタジアムでプレーをしたい」と語った。

 

(写真:東京SG入場時に炎の演出。各チームのスタジアム演出にも注目だ)

 田中澄憲GMはTL開幕戦をプレーした経験を持つ。今回は運営する側として迎えた新リーグの開幕だ。「今日来てくれたお客さんが“また来たい”と思えるように、またラグビーファン以外をどう巻き込んでいくかが大事。1万57人という数字に満足してはダメです」。チーム強化同様、運営面での更なる進化を誓った。

 

(文・写真/杉浦泰介)