北京五輪女子マラソンの国内選考を兼ねた「2008大阪国際女子マラソン」が27日、大阪・長居陸上競技場を発着点に行われ、日本のクラブチーム・セカンドウィンドACに所属するマーラ・ヤマウチ(英国)が2時間25分10秒で初優勝した。
 終盤に追い上げた森本友(天満屋)が2時間25分34秒で日本人トップの2位でゴール。注目された初マラソンの福士加代子(ワコール)は序盤から飛び出し一時は独走態勢を築いたが、終盤に失速、最後は足をふらつかせながらゴールした。
 レースは序盤から福士がトップに立ち、後続を大きく引き離す展開となったが、30キロ手前で、森本、ヤマウチ、ジュリア・モンビ(アルゼ)らの第2集団がペースを上げ、そこから抜け出したヤマウチが力強い走りで、35キロ手前で福士をかわしトップに立った。
 ヤマウチはその後ややペースを落とすも先頭を守り、2時間25分10秒の自己最高記録で初優勝を飾った。
 元英国外務省1等書記官という異色の経歴を持ち、現在はセカンドウィンドACに所属、日本を拠点に練習を積むヤマウチ。ビッグレースでの初優勝に「去年の大阪世界陸上で途中スパートをかけすぎて失速したので、今回は絶対に最後まで力強く走りたかった。大阪城で出たときに大きな集団がついてきて悪い夢のようだったが、あきらめないで最後まで頑張った。初優勝できてすごく嬉しい」と笑顔を見せた。
 英国ではポーラ・ラドクリフに次ぐランナー。日本の市民ランナーやファンにもなじみの深いヤマウチだが、北京五輪では日本人選手にとって手強いライバルとなりそうだ。

 2時間25分34秒で日本人最高の2位に入った森本は「後半勝負だと思っていたが、前半のぺースがよくなかったのでまずいな、と」30キロ手前でペースをあげ第2集団の先頭に立つが、その後ヤマウチに引き離された。終盤には追い上げも見せたが、優勝には届かなかった。ゴールでは笑顔も見せたが、「10キロからがペースダウンしてしまったが、そこで前に出る勇気がなかった。五輪は意識していた。もっと良い記録を狙っていたので、タイム的には悔いが残る」と振り返った。
 高速コースと言われる大阪で2時間25分台での2位という結果はややアピールには欠けるものの、3月の名古屋の結果によっては代表入りの可能性は十分ある。

 注目の福士は、中盤まではリズムの良い走りで野口みずきが持つ大会記録に近いペースを刻んだが、25キロ過ぎから徐々にぺースダウン。35キロ手前で第2集団から抜け出したヤマウチに抜かれると、その後も次々と順位を落とした。最後は足をふらつかせるような走りで何度か転倒しながらも、多くの声援の中、19位でゴールした。ハーフマラソンの日本記録を持ち、満を持してのマラソン挑戦に好記録への期待も集まった福士だが、42.195キロの厳しい洗礼を受けるかたちとなった。

 このほか、3位には小出義雄監督門下生のジュリア・モンビ(アルゼ)、4位には大平美樹(三井住友海上)、5位には初マラソンの扇まどか(十八銀行)が食い込んだ。

 優勝候補の一角と見られていた加納由理(セカンドウィンドAC)は18キロ過ぎに棄権。前回覇者の原裕美子(京セラ)は体調不良のため欠場した。

上位の結果は以下のとおり。

優勝 マーラ・ヤマウチ(英国) 2時間25分10秒
2位 森本友(天満屋) 2時間25分34秒
3位 ジュリア・モンビ(アルゼ) 2時間26分00秒
4位 大平美樹(三井住友海上) 2時間26分09秒
5位 扇まどか(十八銀行) 2時間26分55秒
6位 リディア・シモン(ルーマニア) 2時間27分17秒
7位 奥永美香(九電工) 2時間27分52秒
8位 藤川亜希(資生堂) 2時間28分06秒 
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