29日、「NTTジャパンラグビーリーグワン2022ディビジョン1」第4節が各地で行われた。東京・江戸川区陸協競技場での試合は、カンファレンスAのクボタスピアーズ船橋・東京ベイがNECグリーンロケッツ東葛を59-26で下した。S船橋・東京ベイは9トライを挙げ、ボーナスポイントを加えて勝ち点5を獲得。通算3勝(不戦勝1勝)1敗で勝ち点を15とした。

 

 “オレンジアーミー”が一体となり、序盤はロケットの発射を抑えた。S船橋・東京ベイは持ち味の重量級FWが威力を発揮し、BKも自在に動き回った。

 

 前半2分、SOバーナード・フォーリーのオフロードパスに抜け出したHOマルコム・マークスがトライをあげた。その9分後には左ラインアウトからのモールで再びマークスがトライ。26分にフォーリー、33分にはLOデーヴィッド ・ブルブリングがトライで26-0とGR東葛を引き離した。

 

 38分、後半4分に12点を返されたものの、セットプレーで圧倒。7分にラインアウトモールからマークスがトライをあげた。今季初先発のマークスはハットトリックを達成。17分には敵陣でのスクラムで押し込み、右に展開してCTBテアウパ・シオネがインゴール右中間にグラウンディング。フォーリーが着実にコンバージョンキックを決めていき、40-12とリードを広げた。

 

 その後も攻め手を緩めることなく途中出場のSH藤原忍、WTB金秀隆にもトライが生まれた。計9トライを挙げ、59-26で圧勝した。3トライ差以上で得られるボーナスポイントを獲得。通算勝ち点を15とし、リーグ戦暫定トップに立った。フラン・ルディケHCは「江戸川に帰ってこられてうれしい。チームの結果に関してはハッピーだ」と頬を緩めた。

 

 キャプテンCTB立川理道は「たくさんの“オレンジアーミー”の方に来てもらって、その中で試合ができて幸せ」とホストゲーム開幕戦について語った。

「通常の観客席とは違う別にシートが設けられた。選手としてはより多くの観客の前にできたという感覚があり、陸上競技場特有の観客との遠さを感じず、楽しみながらできました」

 バックスタンドには特設の観客席が設けられ、陸上トラックで隔てられる観客とピッチとの距離を縮めていた。

 

 ホストゲーム開幕戦、派手な演出はなかった。スタジアム実況はホストとビジターの差はあまり見られない。チームカラーのオレンジのように温かい雰囲気、どこかアットホームな雰囲気を漂わせていた。

「両チームを応援し、関係企業の皆さん、自治体の方々と共に、この試合を盛り上げようとしていることをファンの皆さんに理解していただけると感じました」

 そう語るのは広報を務める岩爪航氏だ。

 

 岩爪氏によれば、この両チームを応援するスタイルは2019年W杯日本大会以降から取り入れていることだという。

「19年のW杯後にアンケートを取った結果、ラグビーの魅力にノーサイドという価値観を挙げられる方が多かったんです。SNSの発信、スタジアム演出に関して、“ノーサイドでやっていこう”と取り組んできました」

 

 前身のトップリーグからリーグワンに変わり、主催ゲームの興行権はリーグから各チームに移った。だがS船橋・東京ベイは4年前から興行試合(奈良県ラグビー協会との共催)を行っており、昨季も各地域のラグビー協会と共催というかたちで3試合を運営した。

「リーグワンになったからガラッと変わるわけではなく、今までやってきたことをより強化させていく」(岩爪氏)

 

 この日の江戸陸に詰め掛けたのは2379人。無事、ホストゲーム開幕戦を終えた石川充GMは「こういったコロナの状況の下において、開催に関わってくれたお客さんもスタッフも含め、感謝しかない」と語り、こう意気込んだ。

「江戸陸をまず満員にして、常に楽しんで帰ってもらえるようにしたい」

 

(文・写真/杉浦泰介)