第737回 栗山ジャパン誕生 愛弟子と世界一へ

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 3大会ぶりの「世界一奪回」を目標に、侍ジャパン(野球日本代表)新監督の座に北海道日本ハム前監督の栗山英樹が就いた。

 

 

<この原稿は2021年12月31日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

「日本野球のために結束し、2023年WBCで優勝できるよう全力を尽くしたい」

 

 野球の国・地域別対抗戦のWBCにおいて侍ジャパンは第1回(06年)、第2回(09年)を連覇したが、第3回(13年)、第4回(17年)はベスト4に終わっている。

 

 東京オリンピックに続く“連続世界一”が栗山のミッションとなる。

 

 栗山が“師”と仰ぐのが“魔術師”の異名をとった三原脩である。

 

 名将の条件として、三原は次の言葉を残している。

「監督とは、ひじょうに常識的な言葉であるが、選手を使いこなすことができるかどうかである」

 

 栗山といえば、今年メジャーリーグでMVP(ア・リーグ)に選ばれた大谷翔平の育ての親だが、実は“二刀流”での起用も、三原の影響を受けたものである。

 

 16年、栗山日ハムは球団が北海道に移して以降、2度目の日本一を達成した。

 

 この年、大谷は投げては10勝4敗、防御率1・86。打っては打率3割2分2厘、22本塁打、67打点の好成績でパ・リーグのMVPに輝いた。

 

 その年のオフに行ったインタビューで、栗山は語った。

「三原さんの本にこういうことが書いてあった。日本ハムの初代監督は娘婿の中西太さん。その中西さんが初回から送りバントのサインを出した。それを見た三原さん、“こいつは監督の器ではないな”と。要するに初回からのバントはプロ野球の発展につながらないということですよ。

 

 そういう大局観が、三原さんの一番好きなところなんです。僕は今、プロ野球でメシを食わせてもらっている。この幸せな環境を、どう次の世代につないでいくか。そう考えていた矢先に、翔平のような選手と巡り合うことができた。だったら、彼の力を借りてもっと面白いことができるんじゃないか。もっと別の表現方法があるんじゃないか」

 

 就任記者会見で、大谷について質問が飛ぶと、栗山は「必要ですか? 翔平?」と問い返し、こう答えた。

 

「ひとつ言えるのは、僕の中ではいつも打者大谷と投手大谷という2人の選手がいる。その2人が全体像の中で必要だと思えば、そうでしょう」

 

 海の向こうで、さらにパワーアップした愛弟子を、世界一を決める場でどう使いこなすのか。それが名将への試金石となる。

 

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