ラグビー新リーグ・リーグワン1部は第9節を終え、東京サントリーサンゴリアスが8勝(不戦勝2)1敗、勝ち点37で首位を走っている。

 

 

 サンゴリアスといえばリーグワンの前身トップリーグで優勝5回、日本選手権優勝8回を誇る名門。メンバーには大学ラグビーの花形選手や世界のビッグネームが名を連ねる。

 

 おそらく、このチームのいちばんのファンはサントリーの佐治信忠会長だろう。

 

 ――サンゴリアスの魅力は? との質問に、こう答えている。

「攻撃ですね。アタック力、大量得点、こういったところがサンゴリアスの魅力ですよ。バックスとフォワードの絶妙のコンビネーションもそうですね」(サンゴリアスHP2008年1月7日配信)

 

 サンゴリアスのスローガンは「アグレッシブ・アタッキング・ラグビー」。316得点(不戦勝は21対0扱い)、43トライ(不戦勝は3トライ扱い)は、いずれもリーグ最多である。

 

 その原動力となっているのがニュージーランド代表40キャップのダミアン・マッケンジー、オーストラリア代表38キャップのサム・ケレビら外国出身選手。日本代表の流大、中村亮土との連係も日を追ってスムーズになり、虎視眈々と初代王者の座を狙っている。

 

 今ではチームになくてはならない存在になったのは、2季目のスクラムハーフ(SH)齋藤直人である。

 

 桐蔭学園高校、早稲田大学とラグビーのエリートコースを歩み、4年時には主将として11年ぶりの大学選手権優勝に貢献した。卒業前にはサンウルブズの一員として世界最高峰のスーパーラグビーも経験した。

 

 昨年6月に代表初キャップを刻んで以降、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いるジャパンにもコンスタントに招集されている。

 

 リーグワンでは多彩な攻撃を演出するだけでなく、同ポジショントップとなる4トライをあげている。

 

 かつて、早大の先輩でジャパンのSHとしてW杯2大会(1991年イングランド他、95年南アフリカ)に出場した堀越正巳は言う。

 

「何よりパスのテンポがいい。そればかりでなくディフェンスもできる。齋藤には将来的に南アフリカ代表の(ファフ・)デクラークのようになってほしい」

 

 デクラークとは2019年W杯日本大会で3回目のW杯優勝を果たした南アフリカの不動のSH。パス回しの巧さやキックの正確さだけではなく、大男にも果敢にタックルを見舞う鼻っ柱の強さを見せつけ、スタンドを沸かせた。齋藤にはデクラークになれるだけの資質があるというのだ。

 

 サンゴリアスには同ポジションに流という5学年上の先輩がいる。W杯日本大会では全試合にスタメン出場した。

 

 その流は「直人は今後のサンゴリアスと日本代表を背負っていく存在です」と、自らの後継者であることを認めている。

 

 それに対し、齋藤は「今後」ではなく「現段階」で、「大さんのポジションを狙っている」と明言している。W杯フランス大会は、もう来年である。

 

<この原稿は『サンデー毎日』2022年4月3日号に掲載されたものです>

 


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