北海道日本ハムのGM・高田繁氏の東京ヤクルト監督就任が決定的になった。現場の指揮を執るのは20年ぶりだ。
 思い出すのが故根本陸夫氏の例だ。根本氏は西武の実質的なGMとして黄金期を築き上げた。その根本氏が福岡ダイエー(現福岡ソフトバンク)の監督に就任した時には驚いた。

 現場復帰は12年ぶり。「根本さんはあくまでも“裏”の人。今さら“表”に出てくるのは時計の針を逆に回すようなもの」との批判もあった。
 球団の最終目的は、一日も早い“根本GM体制”への移行。「現場の指揮を執ることでチーム事情に精通してくれれば」との狙いがあったようだ。

 結局、根本氏は2年指揮を執ったあと、現監督の王貞治氏にバトンタッチした。
 実質上、GMだった根本氏が小久保裕紀、井口質仁、松中信彦、城島健司ら、ダイエー黄金期を築き上げた主力選手たちを、独自の人脈と豊富な資金力を背景にして次々と獲得していったことは広く知られている。

 ヤクルトは高田氏に根本氏の役割を期待しているのではないか。それが証拠に倉島今朝徳球団専務は「来年からは無理だが、鈴木球団社長からもGMについて研究するように指示されている」と話している。

 それにしても42歳の古田敦也(選手兼任監督)の後釜が62歳の高田氏とは……。何か自民党の総裁人事を見ているようだな。53歳の安部晋三氏が失脚、虎視眈々と総理総裁のイスを狙っていたのは71歳の福田康夫氏だった。

 29年ぶりのプレーイング・マネジャーとして注目を集めた古田氏が結果を出せなかったのは事実である。「監督としては経験不足だった」との声も球団内部からは聞かれた。
 そこでベテランの高田氏に白羽の矢が立ったわけだが、高田氏の日本ハムでの4年間の監督成績は5位、5位、3位、3位とパッとしない。仮に結果が出なくてもファンは、GM移行までの猶予期間と割り切れるだろうか……。

<この原稿は07年11月5日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

◎バックナンバーはこちらから