10月20日（土）
プロ野球「苦しい試合だったが、選手たちがよくやってくれた」――そう言って選手を労う落合博満監督の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
20日、東京ドームで行われたセ・リーグクライマックスシリーズ第２ステージ第３戦は中日が４−２で巨人を下し、第１ステージを含めクライマックスシリーズ全勝で２年連続での日本シリーズ出場を決めた。
この試合に勝てば日本シリーズ進出が決定する中日。一方、残された道は連勝しかない巨人。途中、中日の先発・中田賢一の内角への厳しい投球に対してバッター・李承と１塁手・ウッズが激しい口論を展開し、一時騒然となるほど両チームのこの試合にかける思いは強く表れていた。
先取点を奪ったのは、第２戦に続いて巨人だった。２回裏、１死から二岡智宏が先制のソロHRを放ち、まずは１点をリードした。
一方、中日は巨人・先発の高橋尚成にいいようにやられ、３回まで1人も出塁できずにいた。しかし打順がひと回りした後の４回表、中日打線がその高橋をとらえる。１死１、２塁からウッズがフルカウントから第２ステージ２本目となる３ランを放ち、一気に逆転に成功した。
これ以上引き離されたくない巨人は、その裏、１死２塁から小笠原道大がライトフェンス直撃のタイムリーを放ち、１点差に迫った。なおも無死１塁でバッターボックスには４番・李。中田はカウント１−０からあわや死球かと思われる内角への厳しいボールを放る。そのボールに珍しく巨人・李が中田に向かって怒りを露にした。すると、それを目にした１塁手のウッズが凄まじい勢いで李に詰め寄り、激しい口論となる。試合は一時中断となり、乱闘寸前となった。試合は程なく再開されたが、両チームの主砲の激しいぶつかり合いに、東京ドームには不穏な空気が漂う。
その中で、中田は冷静だった。巨人・李、続く二岡を空振り三振に打ち取ると、阿部慎之助には四球を与えるも、最後は脇谷亮太を伸びのあるストレートで空振り三振に切ってとり、最少失点に抑えた。
中日は７回表、１死から谷繁元信が貴重なダメ押しとなるソロHRを放ち、再び２点差とした。女房役の一発に奮起する中田は、８回途中までランナーを出しながらも要所を締め、巨人に追加点を許さなかった。
そして、８回２死１、２塁の場面で阿部を迎えたところで、落合博満監督は満を持して守護神・岩瀬仁紀を投入した。岩瀬は阿部を空振り三振に打ち取り、ベンチの期待に見事に応える。
４−２と中日２点リードのまま、試合はいよいよ最終回へと突入した。巨人の原辰徳監督は、第２戦に続いて守護神・上原浩治をマウンドに送る。上原は三者凡退に切ってとり、痛恨のダメ押し点を奪われた第２戦の借りをきっちりと返した。
そして迎えた９回裏、巨人は代打の大道典嘉がレフト前安打で出塁し、反撃の狼煙を上げた。ところが、ここで巨人に手痛いミスが出る。大道の代走に送られた古城茂幸が進塁への気持ちが強いあまり飛び出してしまい、ホリンズのレフトフライにも帰塁することができず、1塁タッチアウト。最後は木村拓也が岩瀬に三球三振に切ってとられ、ゲームセット。５年ぶりにリーグ優勝を果たした巨人だったが、日本シリーズへの切符を手にすることはできなかった。
第１ステージから負けなしで一気に勝負を決めた中日は、球団史上初となる２年連続での日本シリーズで、昨季完敗に終わった北海道日本ハムを相手に日本一の座を争う。
◇セ・リーグ第２ステージ第３戦
中日、第１ステージから無敗の５連勝！（中日３勝０敗、ナゴヤドーム）
中日 ４ ＝ ０００３００１００巨人 ２ ＝ ０１０１０００００
勝利投手 中田（１勝０敗）
敗戦投手 高橋尚（０勝１敗）
セーブ 岩瀬（３Ｓ）
本塁打 （中）ウッズ２号３ラン、谷繁１号ソロ
（巨）二岡１号ソロ
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