10月18日(水)
プロ野球

「信じてました〜!」
 札幌ドームに北海道日本ハム・ヒルマン監督の喜びに満ちた声がこだました――。
16日、パ・リーグクライマックスシリーズ第2ステージ第5戦が札幌ドームで行われた。序盤に好投手・成瀬善久を攻略し、セギノールの一発を皮切りに効率よく点を奪った日本ハムが6−1と快勝。これで通算成績を3勝2敗とし、2年連続での日本シリーズ進出を決めた。
 2勝2敗で迎えた第5戦。この試合に勝った方が、日本シリーズ進出となる大事な一戦は大方の予想を裏切り、ワンサイドの展開となった。
先発はリーグMVPがほぼ確定し、投手三部門(防御率、勝利数、奪三振)全てにベスト3入りしているダルビッシュ有と、今季パ・リーグ5球団には負けなしの左腕・成瀬善久。試合は両エースの緊迫した投手戦が期待された。

 初回からほぼ完璧なピッチングでロッテ打線を寄せ付けないダルビッシュ。一方の成瀬も初回は三者凡退に切ってとり、最高の滑り出しを見せた。ところが2回以降、成瀬がいつもの精細さを欠くピッチングでピンチを招く。

 2回裏は2死2、3塁のピンチを切り抜けるも3回裏、2死1、2塁からセギノールに一発を打たれ、一挙に3点を奪われた。さらに、4回裏には先頭打者の工藤隆人を死球で出すと、2死までこぎつけたものの、鶴岡一人にタイムリーを打たれ、痛恨の1点を奪われる。成瀬はここでマウンドを後にした。

 ホームというアドバンテージもあり、さらに勢いづく日本ハムは5回裏には怒涛の4連打などで2点を追加し、6−0とした。ダルビッシュの調子の良さを考えれば、ロッテにとって6点はあまりにも大きかった。それでも、5回表には犠牲フライで1点を返した。

 7回表、2死を取ったところで、ヒルマン監督が突如、好投を続けてきたダルビッシュに代えて、グリンをマウンドに送った。最後まで投げたかったのだろう。不満そうな表情でマウンドを降りたダルビッシュ。しかし、ベンチではヒルマン監督と冷静に握手を交わしていた姿からは、エースの風格が漂っていた。
 先発した第3戦には7回を無失点に抑えたグリン。ダルビッシュの後を受けたこの試合も8回までは無安打に抑える最高のピッチングを見せた。

 そして迎えた最終回、ロッテは最後の粘りを見せる。先頭打者の福浦和也がグリンからの初安打で出塁すると、続くサブローの内野ゴロの間に福浦は2塁へ進んだ。さらに里崎智也もサードへの強襲安打で続き、1死1、3塁とする。
 ここで日本ハムは抑えのエース・MICHEALをマウンドに送り、全てを託す。MICHEALはオーティズを空振り三振に打ち取り、日本シリーズまであとアウト一つとした。

 しかし、ロッテも簡単には終わらなかった。バッターボックスには大松尚逸。大松はカウント2−0と追い込まれるも、粘りを見せてフルカウントからの11球目、真ん中低めのストレートを思い切って叩いた。打球は鋭く1、2塁間を抜け、それを見届けた3塁ランナーのTSUYOSHIがホームに返った。

 しかし、ロッテの反撃もここまで。最後は橋本将が空振り三振に倒れ、日本ハムの2年連続日本シリーズ出場が決まった。MVPには第2ステージで2勝を挙げたダルビッシュが選出された。

 最後の打者・橋本のバットが空を斬った瞬間、札幌ドームのボルテージは最高潮に達し、選手もファンも喜びを爆発させた。


◇パ・リーグ第2ステージ第5戦
 セギノール、成瀬から先制3ラン!(日本ハム3勝2敗、札幌ドーム)
千葉ロッテ       2 = 000001001
北海道日本ハム   6 = 00312000×
勝利投手 ダルビッシュ(2勝0敗)
敗戦投手 成瀬(0勝1敗)
本塁打  (日)セギノール1号3ラン


 18日、セ・リーグクライマックスシリーズ第2ステージ第1戦が東京ドームで行われ、中日が5−2で巨人を下し、先勝した。

 両先発陣が不安定な立ち上がりで、初回から互いにピンチが続いた。まずは中日が2死2塁からウッズ、中村紀洋と四球を選び、満塁のチャンスを迎えた。しかし、李炳圭が初球のストレートを打ち損じ、1塁ゴロに終わった。その裏、今度は巨人が2死満塁のチャンスを迎えるも、阿部慎之助がレフトフライに倒れ、キャプテンの意地を見せることができなかった。

 中日は2回表には1死満塁とするも、井端弘和が併殺打に切ってとられ、またも先制のチャンスを潰した。
 3回表にも中日は再び1死満塁とするも、平田良介が見逃し三振に倒れ2死となる。またもやチャンスを生かしきれないかと思った矢先、谷繁元信がセンターへ2点タイムリーを放ち、中日に待望の先取点が入った。さらに4回表にはウッズの一発で2点を追加し、中日が4点のリードを奪った。

 一方の巨人は、毎回のようにランナーを出すも中日・先発の小笠原孝の前にあと1本が出ず、得点を奪えずにいた。しかし、5回裏には谷佳知がソロHRを放つと、続く6回裏には代打・ゴンザレスの犠牲フライで1点を追加した。
 だが、終盤は目まぐるしく替わる中日のリリーフ陣に巨人打線は反撃の糸口を見つけることができず、結局7回以降は無得点に終わった。

 一方の中日も5回以降は追加点を奪うことができずにいたが、8回表にこの試合無安打の井端がタイムリーを放ち、貴重なダメ押し点を挙げた。
投げては8回途中から早々と守護神・岩瀬仁紀を投入し、3点差を逃げ切った。

 明日の第2戦で中日が勝てば、日本シリーズ進出に王手がかかる。


◇セ・リーグ第2ステージ第1戦
 ウッズ、値千金の決勝2ラン!(中日1勝0敗、東京ドーム)
中日   5 = 002200010
巨人   2 = 000011000
勝利投手 小笠原(1勝0敗)
敗戦投手 内海(0勝1敗)
セーブ   岩瀬(1S)
本塁打  (中)ウッズ1号2ラン
       (巨)谷1号ソロ
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