160226iyogin 悔しさと手応えが残った5位だ。
 伊予銀行テニス部は2月12~14日に東京体育館で行われた第30回日本リーグ男子決勝トーナメントで5位に入った。前年の3位こそ上回れなかったが、2年連続で決勝トーナメント進出を果たし、勝利をあげた。個人でもシングルスNo.1で貢献した片山翔と、シングルス、ダブルスで全勝を収めた飯野翔太が優秀選手賞を獲得した。
(写真:今季限りで引退する植木選手は特別賞を受賞)

 


 今季の伊予銀行はアマチュア選手のみで3位入賞した昨季のチームから、さらなる補強を行った。初のプロ選手として片山と契約。秋には慶應大から元インカレ王者・近藤大基が入社した。

 片山を新エースに立てて臨んだ昨年12月のファーストステージでは4連勝。セカンドステージでも、昨年度優勝の三菱電機を下すなど勢いは止まらず、トータル7連勝で男子レッドブロック1位通過を決めた。

160226sano 8チームによる決勝トーナメント1回戦の相手はブルーブロック4位のノア・インドアステージ。シングルスNo.2で最初に登場したのは佐野紘一だった。
「(東京体育館の)コートサーフェスでは速い展開になるので、ネットプレーが得意で攻撃的な佐野を起用しました」
 秀島達哉監督が満を持して送りだした27歳だが、第1セットを3-6で落とす。第2セットは6-4で奪い返したものの、最終第3セットは1-6で敗れてしまう。
(写真:「ダブルスはプロ相手でも通用する。シングルスで核となる選手が必要」と課題を口にした佐野)

 こうなると頼みの綱はシングルスNo.1の片山だ。ファーストステージ、セカンドステージは無傷でシングルスNo.1を制し、チームに勝利をもたらせてきた。ノア・インドアステージが吉備雄也というプロ同士の対決は、片山が第1セットを6-2で先取する。 第2セットも4-2とリードし、完全に片山ペースであった。その後は吉備が調子を上げてきたものの、5-4で片山のサーブ。勝利まで、あと1ゲームに迫る。


 しかし、ここで落とし穴が待っていた。「相手のミスを待って消極的になってしまった」と慎重になり過ぎたところを相手に粘られてゲームを連取される。タイブレークに持ちこまれた末、このセットを失うと、一旦傾いた流れは止められなかった。最終第3セットも2-6で奪われ、敗戦が決まった。

「テニス選手として、一番やってはいけない試合をしてしまった……」
ガックリと肩を落とした片山。上位進出の可能性は断たれ、5・7位決定戦に回ることになった。

「調子は全員、良かったと思います。これが一発勝負のトーナメントの難しさ。残念だが、やることはやった上での結果ですから受け入れるしかない」
秀島監督はじめ、選手たちは気持ちを切り替えて翌日のコートに戻ってきた。

160226kondo 5・7位決定戦の相手はリコー。今季はセカンドステージで勝利しているとはいえ、ダブルス勝負にもつれている。
「リコーはダブルスがかなり強い。佐野、飯野とベストな組み合わせで取りに行くことを考えました」
指揮官からシングルスNo.2に起用されたのはルーキーの近藤だ。対戦相手の只木信彰は湘南工大付高の2つ先輩だった。
(写真:半年のブランクがあり、「体がまだフィットしていない。体重を10キロ落とす」と試合後は悔し涙を流した近藤)

「相手は後輩相手に負けたくなかったと思う。こちらがヘンな緊張をしてしまいました」

 近藤はファーストサーブが思うように決まらず、苦戦を強いられる。第1セットは中盤から立て続けにブレイクを許し、2-6で落とした。第2セットも0-3と厳しい立ち上がり。徐々にショットが安定して5-5まで盛り返したものの、最終的には5-7で押し切られた。

160226katayama もう負けられない状況でシングルスNo.1を託されたのは片山だ。
「昨日と同じ失敗は2度と繰り返せない」
強い気持ちで相手に対峙したエースは6-3、6-1と圧倒。「第2セットで1ゲーム目をブレイクして気持ちが落ち着いた」と試合を支配し、ダブルスに望みをつないだ。
(写真:片山は「他の選手もプロと同じくらいトレーニングをしている」とチーム力の高さを認めている)

 勝敗を決するダブルスは、佐野・飯野ペアが第1セットの第2ゲームをブレイク。幸先良いスタートを見せる。ところが、次のゲームをブレイクバックされ、一進一退の攻防が続いた。試合が動いたのは5-5で迎えた第11ゲームだ。飯野のサーブをうまくリターンされ、ラブゲームでブレイクを喫する。そのまま相手のサービスゲームをキープされ、5-7でセットを落とした。

「内容は悪くなかったのですが、いいリターンが来て、サーブが苦しくなっていた。速いサーブだけだと相手にタイミングが合ってしまう。抜いたサーブも入れて相手を動かすように話をしました」
崖っぷちに立たされたペアへ秀島監督は冷静にアドバイスを送る。「イージーミスをなくせば、とれるポイントがあった」と佐野も気を取り直し、第2セットに臨んだ。

160226iino すると、サーブの修正点を指摘された飯野がサービスエースを次々と決めて復調。サービスゲームを確実にキープし、6-3でモノにする。勝負の行方は10ポイント先取のタイブレーク方式による第3セットに委ねられた。
(写真:「サーブのコースを変えたり、緩急をつけた」と第2セット以降、変化を意識した飯野)

 本人たちも「ハラハラドキドキ」の展開は、ポイントで先を行かれる嫌な流れとなった。中盤までは4-6。「ヤバイ……」。内心は焦りつつも、2人は心を落ち着かせようと必死だった。
「10ポイントゲームは短いようで長い。我慢すればワンチャンスが来る」(佐野)

 分岐点となったのは1ポイントを返し、5-6で迎えた相手のサーブだった。飯野が見事なリターンエースを決め、6-6のタイスコアに追いつく。
「流れが来たと感じました」
飯野が振り返ったように、ここからペアは一気に加速する。サービスエースを含む5連続ポイントで9-6。「丁寧に行くところと積極的に行くところのメリハリをつけ、息の合ったダブルスをみせてくれました」と秀島監督も称える鮮やかな逆転劇だった。土壇場までもつれた試合は伊予銀行に軍配が上がった。

「悔しい思いをしましたが、来年につながったと感じます」
佐野は5位という結果を前向きに受け止めている。指揮官も「5位と7位では達成感が全然違う」と選手たちの頑張りに深くうなずいた。何より、伊予銀行には負けられない理由があった。この大会限りでチームを長年牽引してきた主将の植木竜太郎と、小川冬樹の引退が決まっていたからだ。

「最後の花道を飾りたい」
 リコー戦ではシングルスで連勝すれば、ダブルスで植木に引退ゲームを任せるプランもあった。その実現はならなかったが、勝利で2人を胴上げして送り出すことができた。

160226hidesima 新チームでは最年長(28歳)となる廣瀬一義がキャプテンに就任する。4月からは愛媛県出身の弓立祐生(明大)も加入する。
「数年前から地元の高校からトップ選手を集めて練習参加させていた中のひとりが弓立です。育成して大学卒業後に愛媛に帰ってきてもらうシステムが機能した第1号の選手と言っていいでしょう。ポテンシャルはあるので、ぜひチームの軸として台頭してほしい」
秀島監督の視線は既に来季を向いている。
(写真:「5位に終わったのは、まだ何かが足りないから」と分析する秀島監督)

「決勝トーナメントで勝ち抜くには、ひとりひとりのレベルを上げていかないといけない。国際大会など高いレベルでの経験を増やし、フィジカルも強化していきたいと考えています」
 来年は「愛顔(えがお)つなぐ えひめ国体」も開催される。国体でも日本リーグでも、来季は一層、勝利にこだわるシーズンとなるだろう。

「プレッシャーはかかるが、ベストな状態で挑みたい」
 決意を新たにした指揮官の下、チーム一丸となって日本一を――。国体と日本リーグでの好成績へ、全部員は次のコートを見据えている。

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