愛媛への想いを込め、日本リーグの“壁”に挑む ~伊予銀行テニス部~

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(写真:例年とは違うシーズンを迎えたが、一丸となって戦う姿勢は変わらない)

 第35回日本リーグに臨む伊予銀行テニス部。12月3日からの1stステージに向け、日々調整中だ。昨季は6年連続の決勝トーナメント進出を果たし、2年連続で7位になった。今季レッドブロックに入った伊予銀行は、三菱電機、エキスパートシズオカ、レック興発、リコー、九州電力、MS&AD三井住友海上、共和キリンと兵庫・ブルボンビーンズドームと神奈川・横浜国際プールで対戦する。

 

 

 

 

 日下部聡監督は「厳しい戦いとなることが予想されますが、全くチャンスがないわけではない。今年こそはと考えています」と組み分けの印象を語る。昨季準優勝の三菱電機、3位のエキスパートシズオカなど強敵揃いだ。

 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で春からの大会は軒並み中止となり、実戦機会が積めなかった。「3月から試合がなくなり、遠征も行えず選手たちが練習で取り組んできたことを発揮する機会がなかった。選手にとってはモチベーションの面で厳しいシーズンだったと思います」と日下部監督。一方で例年は海外ツアーに回る片山翔が、松山でトレーニングする機会も増えた。

 

 その点について、日下部監督はポジティブな効果があったと認める。

「みんなで練習を積めたというのは良かった。私の方からも『気付いたことがあったら、どんどん指摘してやってくれ』と伝えました。彼も技術面のアドバイスをしてくれているので、非常に良かったです」

 

 トレーニング中心の日々。日下部監督に「この期間に変化した選手は?」と聞くと、中島啓と大塚健太郎の2人を挙げた。入行7年目の中島は今季からキャプテンに就任した。

「去年はケガで試合に出られなかった。ケガも回復し、試合にも出られるコンディションになっています。他の選手に細かい指示を送るなど、キャプテンとしての自覚も高まっていると感じますね」

 

 チームに主体性を求める指揮官は、中島にキャプテンを任せることで成長を期待したのも事実だ。

「元々頭が良く、物事を冷静に判断できるタイプ。これまでは自分から発言することも少なかったのですが、キャプテンになってからは増えました」

 

 日下部監督も現役時代は3シーズンキャプテンを経験した。責任感に加え、「チーム全体を見るようになった」と視野が広がったという。

「中島にはプレッシャーを感じさせ過ぎないようにしたい。選手たちにはなるべく“ストレスフリー”でやれる環境を整えてあげたいと思っています」

 

(写真:横山 正吾トレーナーの指導を受ける伊予銀行の選手たち

 2年目の大塚は、昨季ルーキーながら決勝トーナメント2試合に出場した。

「昨年の経験もあり、取り組む姿勢が変わりましたね。細かいアドバイスを練習に取り入れるなど、意識が高くなり、いろいろなことを吸収できていると思います」

 日下部監督も大塚の成長を実感している。

 

 4月に法政大学出身の楠原悠介という期待の新戦力が加わった。シングルスのJTA(日本テニス協会)ランキングは38位(10月27日時点)。32位の片山に次ぐ位置に付けている。その一方で、2年目の坂井勇仁が6月に退社することになった。坂井は現役を離れ、コーチに転身した。「正直、痛いですね」と日下部監督。戦力ダウンは否めないが、下を向いてばかりもいられない。

 

「日本リーグまでは、ダブルスを強化したいと思っています。今年は大会がなかったので、対戦相手のデータも少ない。ペアリングをどうするかも難しくなっています」

 日下部監督が言うように、コロナ禍で大会がなかったため、各チームペアを試す機会がなかった。他と条件は変わらないにしても、その点は伊予銀行としても不安材料だ。

 

「実戦経験を養ってもらう」(日下部監督)。28日には第95回全日本選手権がスタートした。伊予銀行からは片山と楠原がエントリー。11月8日からのグリーンカップ埼玉オープン第61回秋季クラシックには全選手が出場する予定だ。

 

 就任4年目の日下部監督は日本リーグに向けて、こう意気込む。

「まずは決勝トーナメント進出。そこで勝利を得る。7位からの脱出が最低限の目標です。今年はその“壁”を破り、過去最高の3位を超える実績を挙げたいと思っています」

 

 年々、各チームにプロ選手が増えてきており、目標達成の難易度は決して低くはない。

「今年は楠原も入り、チャンスだと思っています。3位以上という成績は十分に可能。選手たちも、試合が少なくリーグに全力で向かっていくという高いモチベーションを持っている。非常に楽しみです」

 活躍の場に飢えた選手たちも、日本リーグの舞台を待ちわびているはずだ。

 

 今年は国民体育大会が開催されず、地元・愛媛への感謝の思いをチームとして送れるのも、日本リーグが唯一の場となる。

「コロナ禍で国体だけでなく、地域でのテニス教室もなかなかできませんでした。地位貢献をできなかったということは選手たちも感じているところです。チームの存在意義は、地域があっての伊予銀行テニス部。そのあたりの想いもプレーに込めて欲しい」

 来たる決戦に向け、伊予銀行の選手たちは刀を研ぐ。

 

iyobanner3

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