29日、女子サッカーリオ五輪アジア最終予選の第1節が行われ、なでしこジャパン(日本代表)はオーストラリア代表に1-3で敗北を喫した。なでしこは前半25分、FWリサ・デバンナに決められ、オーストラリアに先制を許す。40分にはFWミッチェル・ヘイマンに追加点を奪われたものの、アディショナルタイムにFW大儀見優季が1点を返した。しかし、後半33分にMFカトリーナ・ゴリーに決定的な3点目を入れられ、試合は終了。なでしこがリオ五輪に出場するためには、オーストラリア、韓国、中国、ベトナム、北朝鮮とのリーグ戦で上位2位以内に入らなければならない。4大会連続五輪出場を狙う日本にとって、厳しい船出となった。

 

アンラッキーな2失点目が大きく響く

女子日本代表 1-3 女子オーストラリア代表(キンチョウスタジアム)

【得点】

[日] 大儀見優季(45分+2分)

[オ] リサ・デバンナ(25分)、ミッチェル・ヘイマン(40分)、カトリーナ・ゴリー(78分)

 

なでしこはホームでの地の利を生かせず、オーストラリアに完敗を喫した。

 

 開始3分、なでしこはいきなりピンチを迎えた。ロングボールからヘイマンに右サイドの裏をつかれる。DF熊谷紗希がカバーに入るも、ヘイマンに切り返しでかわされてシュートを打たれた。これはGK山根恵里奈が正面でキャッチをするが、幸先の悪い試合の入りだった。

 

 21分、なでしこにも最初のチャンスが訪れる。MF中島依美がドリブルで左サイドをえぐってマイナスのパスを送った。この折り返しにペナルティーアーク付近にポジションを取っていたMF阪口夢穂が左足で合わせるも、相手GKの好セーブにあう。昨年のカナダW杯決勝トーナメント1回戦(対オランダ代表)でのゴールが脳裏をよぎるシーンだったが、惜しくも再現はならなかった。

 

 ビッグチャンスをものにできなかったなでしこは、主導権を相手に渡してしまう。25分、なでしこ陣内の左サイドでボールを拾われると、ゴリーにアーリークロスを供給される。このクロスにデバンナが頭で合わせられ、なでしこはオーストラリアに先制を許した。

 

 なでしこの佐々木則夫監督は流れを引き戻すために、前半に早くも動く。39分、FW大野忍に代えて、22歳の若手FW横山久美を投入する。しかし、流れは引き戻せぬまま1分後に不運な形でオーストラリアに追加点を許してしまう。中盤でパス回しをしていると、阪口のパスが審判に当たる。このこぼれ球を拾ったデバンナが一気にドリブルで攻め上がり、ヘイマンにゴール中央へスルーパスを通す。これを冷静にトラップしたヘイマンに飛び出してきた山根は楽々とかわされ、無人のゴールにボールを流し込まれた。

 

 早い時間帯に点差を詰めたいなでしこは、新10番・大儀見が意地を見せる。前半アディショナルタイム、左サイドからのサイドチェンジを受け取ったMF川澄奈穂美が、右サイドをオーバーラップしてきたDF有吉佐織にパスを出す。有吉がグラウンダーのクロスを送ると、阪口がゴール中央でボールの軌道を変えた。このボールにいち早く反応した大儀見がゴールに蹴り込み、1点差に詰め寄った。澤穂希からエースナンバーを受け継いだストライカーが結果を出す。

 

 大儀見の得点で、なでしこはなんとか1点を返した。だが、前半はDFラインが深く間延びしてしまい1人1人の距離が遠く、フォローが遅れる場面が目立っていた。

 

 後半に入り、最初のチャンスは日本に訪れた。5分、中島が大儀見へクロスを送ると大儀見が頭でペナルティーエリア左にいた阪口へ落とす。阪口は胸トラップから左足でシュートを放つもGK正面だった。阪口はチャンスにことごとく絡んでいた。続く17分にはMF宮間あやがペナルティーエリア外から右足を振り抜く。惜しくもボールはGKの好セーブに阻まれた。

 

 チャンスを生かせなかった後に失点するパターンは先制点と同じだった。33分、右サイドからMFエミリー・バンエグモンドにフリーでクロスを上げられると、ファーサイドでノーマークだったゴリーにヘディングで決められた。再び2点のビハインドとなり、試合をほぼ決定付けられた。佐々木監督は39分にFW岩渕真奈、MF川村優理を投入するが、決定的なチャンスは作れずにそのままの1-3で試合は終了した。

 

 試合後、佐々木監督が「中1日で戦うわけですから次に切り替えて、一戦も落とせないという気持ちで戦うしかない」と語れば、主将の宮間も「自分たちの実力だと思う。終わったことを考えても仕方ないので、あと4勝、まだチャンスはあるので気を引き締めて戦いたい」と下を向いてはいない。2日後に行われる韓国代表戦に気持ちを切り替えていた。

 

 他会場の結果、なでしこは5位スタートとなった。とはいえ、まだ1試合を終えたばかりである。中1日で5試合をこなす短期決戦。気持ちを切らさずに乗り越えて欲しい。

 

(文/大木雄貴)