(写真:大会運営に尽力したゼネラルプロデューサーの伊達公子氏<前列中央>と伊予銀行テニス部のメンバーたち)

 伊予銀行テニス部が出場予定だった第35回日本リーグは、11月27日に中止が決定した。日本テニス協会は国内で新型コロナウイルスの感染が拡がり始めたことで<苦渋の決断>を下した。国民体育大会、日本リーグは伊予銀行としても重要視している大会である。選手たちからしてみれば、活躍の場を奪われたかたちだが、大会の結果以外にも地域に貢献できることはある。伊予銀行は、11月下旬から12月上旬にかけて愛媛で行われたITF(国際テニス連盟)ジュニア大会『リポビタン国際ジュニアSupported by伊達公子×YONEX PROJECT』(以下リポビタン国際ジュニア)の開催に協力した。

 

 

 

 

『リポビタン国際ジュニア』は2020年に新設された大会だ。日本国内において8大会目となるITFのジュニア大会。全豪、ウィンブルドン、全仏、全米というテニスのグランドスラムは、いずれもジュニアの大会があり、選手が出場権を得るためにはITFジュニアランキングで100位以内に入ることがひとつの目安となる。ジュニアの試合環境の整備が目的として大会は立ち上がった。

 

(写真:大会は無観客で行われた。選手・関係者の動線を絞り、新型コロナウイルス感染防止対策も施されていた)

 大会会場となった愛媛県総合運動公園のテニスコートは、17年に愛媛で行われた国民体育大会のために整備された世界基準のハードコートだ。近年は『ITFユニ・チャームトロフィー 愛媛国際オープン』の会場にも使用されている。国内のジュニア選手が“世界”を体感できる意義は大きい。

 

 伊予銀行の日下部聡監督はこう語っている。

「全国的に見てもジュニアの国際大会は数が少なかった。日本人が世界レベルの大会を国内で体感できる意義のある大会になると思っています。日本の選手が海外の試合に出ることは簡単ではありません。国内開催の国際大会の存在は、ジュニアの選手にとっていいチャンスになる」

 

 開催地のワイルドカード枠があり、愛媛のジュニア選手も大会に参加できるチャンスが生まれる。今大会の県勢では、本戦に出場した新田高校の丹下颯希と浜田暖菜が、それぞれ男子シングルスと女子シングルスベスト8入り。地元選手の活躍が見られた。「県内の選手たちが刺激を受けて更なるレベルアップが期待できるのではないかと思います」と日下部監督。ワイルドカード予選、予選、本戦の計8日間を振り返った。

 

(写真:伊予銀行のテニス部は大会本部での受付業務などに従事し、裏方として愛媛県初のITFジュニア大会を支えた)

 伊予銀行は日本リーグが中止となったことにより、『リポビタン国際ジュニア』の全日程に協力した。大会本部に基本常駐し、選手・関係者の新型コロナウイルスの感染予防対策や大会運営を担った。部員によっては大会出場選手の練習パートナーを務めた。

「部員たちも大会を運営する人の立場もよくわかったと思います。普段、当たり前のように大会を開催できていることへの感謝を再認識できたんじゃないかと。活動をできる喜び、地域の人への感謝も改めて感じられる機会になりました」(日下部監督)

 

 今年度の日本リーグで戦う機会は失ってしまったが、大会運営を手伝ったことで次へのモチベーションに少なからずつながったのではないか。

「我々の存在意義は国体、日本リーグの優勝のほか、地域貢献があります。できる限り、ジュニア育成を含めたテニス教室を開催していきたいと思っています」

 コロナ禍によって、今年はあまり実施できていないが、松山市に限らず県内でテニス教室を開くなど伊予銀行はテニスの普及・育成に尽力している。

 

 日下部監督は今後に向け、こう意気込んでいる。

「愛媛県内のテニスの強化、普及はもちろんなんですが、香川や高知、徳島でもテニス教室、強化練習会に参加できたらいいと思っています。ナショナルチームに入る選手は四国出身者だけ出ていない。四国全体を盛り上げていきたい」

 

 伊予銀行はスポーツを通じ、愛媛をつなぎ、四国をつなぐ――。<想いを、つなぐ。 地域を、つなぐ。>活動をこれからも応援していく。

 

iyobanner3


◎バックナンバーはこちらから