現地時間10日、サッカーの欧州選手権(EURO2016)が開幕した。グループAは開催国のフランス代表(FIFAランキング17位)が、スタッド・ド・フランスでルーマニア代表(同22位)と対戦。後半13分、フランスはFWオリヴィエ・ジルー(アーセナル)のゴールで先制に成功する。20分にPKで追いつかれたものの、終了間際にFWディミトリ・パイエ(ウエストハム・ユナイテッド)が決勝点を叩き込んだ。フランスが2ー1でルーマニアを下し、苦しみながらも白星スタートを切った。

 

【グループA】


 パイエ、1G1Aの活躍(サンドニ)
フランス代表 2−1 ルーマニア代表
【得点】
[フ] オリヴィエ・ジルー(58分)、ディミトリ・パイエ(89分)

[ル] ボグダン・スタンク(65分)

 

 レ・ブルーの愛称を持つフランスが、青に染まったサンドニで凱歌をあげた。

 

 32年ぶりの自国開催となったフランス。4大会ぶり3度目の欧州制覇を目指す上で大事な初戦の相手はルーマニアだ。過去の対戦で負けていないとはいえ、直近の5試合に限れば、1勝4引き分けとほぼ互角である。両国はEURO2008のグループリーグ初戦でも対戦しており、スコアレスドローに終わっている。

 

 最初に決定機を作ったのはルーマニアだった。4分、左CKをニアですらすと、ファーサイドのFWボグダン・スタンク(ゲンチレルビルリイ)がフリーでシュートを放った。ここはフランスのGKウーゴ・ロリス(トッテナム)が身を挺して防いだ。

 

 一方のフランスもジルー、パイエ、アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)の3トップを中心に攻撃を組み立てる。しかし、192センチの長身ジルーのヘッドは枠をとらえきれず、グリーズマンのシュートはポストを叩いた。

 

 フランスはボールを支配して相手よりもチャンスをつくりながら、スコアレスで前半を終えた。堅い守備ブロックを築くルーマニアに後方でのパス回しを狙われるなど危なっかしい場面も少なくなかった。嫌な空気が漂いかけたが、前半不発だったジルーのヘッドが炸裂する。

 

 後半13分、右サイドのパイエが左足で正確なクロスを供給した。飛び出してきたGKはボールをキャッチできず、競り合ったジルーが頭で合わせた。シュートは無人のゴールに吸い込まれ、フランスが先制した。

 

 先手を奪ったフランスだが、なかなか波に乗れない。19分にはパトリス・エヴラ(ユベントス)がペナルティーエリア内で相手を倒してしまいPKを献上した。これをスタンクに決められ、追いつかれてしまう。フランスのディディエ・デシャン監督は次々と交代カードを切るも、ゴールが遠い。

 

 このままドローと思われた終了間際に劇的なドラマが待っていた。再三チャンスを演出していたパイエが、ペナルティーエリアの手前で左足を振り抜いた。強烈なミドルシュートはゴール左上に突き刺さった。土壇場での決勝弾でフランスが勝利を収めた。

 

 レ・ブルーは内容はともあれ、重圧のかかるオープニングゲームで勝ち点3を得たことは大きい。欧州制覇の航海は上々の船出となった。

 

(文/杉浦泰介)