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(写真:栃木は前日の完敗から一夜明け、静かに燃えているように映った)

 9日、男子バスケットボール「B.LEAGUE」の第27節最終日が各地で行われた。千葉・船橋アリーナでは東地区1位の栃木ブレックスが、同3位の千葉ジェッツを72-64で破った。栃木は地区優勝のマジックを6とした。

 

 栃木・ロシター&ギブス、揃ってダブルダブルの活躍(船橋アリーナ)

千葉ジェッツ 64-72 栃木ブレックス

【第1Q】15-13【第2Q】18-18【第3Q】16-19【第4Q】15-22

 

 東地区首位の栃木が、前日の敗戦を振り払う勝利。地区優勝へ一歩前進した。

 

 既にチャンピオンシップ(CS)進出を決めている両チーム。栃木にとっては敵地・船橋アリーナに乗り込んでの連戦で、8日の試合は80-92で敗れていた。連勝を8で止められ、大量失点。リーグNo.1を誇る堅守のプライドを傷付けられたかたちだ。「昨日は悔しい思いをした。リベンジしようと強い気持ちで臨んだ」とは栃木のトーマス・ウィスマンヘッドコーチ(HC)。千葉とはCSでぶつかる可能性も十分にあるため、早いうちに借りは返しておきたいところだった。

 

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(写真:注目度の高かった田臥<左>と富樫のマッチアップ。13得点6アシストの富樫が個人成績では上回ったが、勝利には導けなかった)

 千葉はリーグ観客動員No.1チーム。1試合平均4431人(26節終了時点)は2位の栃木に1000人以上の差をつけている。とはいえアウェイでの勝率8割を超える栃木からすれば、決してやりづらいアリーナではない。PG田臥勇太が「熱く激しく応援されている印象。燃えられる雰囲気を作ってくださっているのは敵チームですけど、うれしく思います」と口にするように、むしろ“大歓迎”といった具合だ。

 

 東地区上位対決の第2ラウンドには5378人もの観客が集まった。試合開始前は生憎の雨模様でも船橋アリーナの前に行列ができていたほどだ。選手紹介はコートに映像を映し出すプロジェクションマッピング。派手な演出でゲームを盛り上げる。コートから客席までが近く、迫力も伝わりやすい。千葉の集客力の一端をそこに見た気がした。

 

 第1クォーター(Q)から競った展開となった。栃木SG/SF古川孝敏のスリーポイント(3P)で幕を開けると、千葉のSF/PF小野龍猛も3Pで応戦した。田臥との司令塔対決が注目された千葉PG富樫勇樹はスピードとテクニックを生かしたプレーで得点を決める。一方の田臥は序盤にパスミスを犯すなどターンオーバーが目立った。同点で迎えた第1Q終盤にはPFタイラー・ストーンがディフェンスリバウンドを掴むと、そのままボールを運ぶ。鮮やかなボールタッチでゴール下まで侵入すると、豪快なダンクを叩き込んだ。15-13。ロースコアの接戦で第2Qを迎えた。

 

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(写真:ギブス<左>はアグレッシブなプレーで攻守に貢献。前日大活躍したストーン<右>にも仕事をさせなかった)

 第2Qは序盤は千葉がSG/SF原修太のアウトサイドシュートなどで一時は9点差まで引き離した。対する栃木はPF/Cライアン・ロシター、PF/Cジェフ・ギブスがインサイドで躍動。徐々に点差をつめていく。第1Qはミスもあった田臥だが意地を見せる。2連続スティールから得点につなげ、逆転に成功した。すると千葉はストーン、小野の連続3Pで再びリードを奪う。33-31と千葉が2点をリードしたまま前半を終了した。

 

 前半を終えてのスタッツを見ると、千葉のシュート成功率50%に対し、栃木は34.4%しかなかった。それでも接戦に持ち込めていたことに栃木の試合巧者ぶりが目立つ。後半に入ると東地区首位の底力を発揮する。栃木は古川のアウトサイドシュートなどで逆転。栃木は1点リードして第4Qを迎えると、一気に突き放した。ギブスがインサイドで躍動。身長188cmとインサイドプレーヤーとしては長身ではないが、ゴール下でアグレッシブなプレーを見せた。ダンクから始まり、ファウルをもらえばフリースローも確実に決める。

 

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(写真:「たくさんのお客さんの中でやれることはうれしい」と大観衆の前でクオリティの高いゲームを見せて満足気な栃木のウィスマンHC)

 一方の千葉は司令塔の富樫が「自分たちのプレーをできなかった」、キャプテンの小野が「最後の最後で集中力が欠けていた」と口にしたようにシュート精度が落ちていた。終わってみれば栃木が千葉を72-64と8点差をつけて勝利した。ギブスが最多の23得点12リバウンドの活躍を見せれば、ロシターも12得点10リバウンドと力を発揮した。助っ人2人が揃ってダブルダブル。ウィスマンHCが「リバウンドで勝つことが勝因」と振り返ったように、栃木は千葉より18個多い48リバウンドを稼いだ。得意のディフェンスで千葉の攻撃を64点に抑えたことも大きかった。インサイドを支配した栃木が東地区上位対決を制し、CSに向けて弾みをつけた。

 

(文・写真/杉浦泰介)